テラーノベル
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あの偽物が目の前から消えてから、俺の様子がおかしかった。
「ッ…」
今自分が歩いているところも、カラフルな床も壁も全てが歪んで見えた。
「どこだここ…」
俺は1人で呟いた。
1人でも声を出さないと、俺は記憶を失うと思ってしまったから。
あいつは偽物だ。さっき消えたやつは偽物だ。
分かってる、分かってるのに本物のPーPが消えた気がずっと消えなかった。
PーPはどこだ。
元はと言えば俺の不注意だった。
ちゃんと周りを見ていれば。
後ろを見ていれば。
俺のせいだ、俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ。
俺は自分を責めた。
途端にグラッと視界が揺れる。
自分が倒れたことすらも分からなかった。
「…俺って、無能だな、笑」
細い息を続けながら、誰にも聞こえない嘆きの声をあげた。
「スー…ッ、スー…ッ」
意識が朦朧としている中、呼吸だけは続けようとする。
生きたい。死にたくない。
PーPと一緒にここを出たい。
「こんな所でくたばってどうするの」
そんな中声が聞こえた。
「ッ、…お前、」
俺の掠れた小さい声は、あのテレビ頭に
聞こえてるか分からなかった。
「っふ…とどめでも刺しに来たのか?」
「そんなんじゃない」
「僕は君を助けたいんだ」
何を言っているこいつは。
「最初は君たちを敵視してたんだ」
「でも君たちの友情を見て変わった。 というか目が覚めた」
俺はだんだん意識がはっきりしきた。
「僕もここに迷い込んだ人間だった」
こいつの話が少々気になったから。
「君みたいに友人と」
「でもある時友人が僕をかばって死んでしまったんだよ」
「…じゃあお前はなんでここにいるんだよ」
「そんな変な頭して」
ずっと気になっていた事がやっと聞けた。
「…精神が狂ったから」
「ッ…」
“精神が狂う”この言葉はここにいる時何回も脳裏を横切った。
「僕は正気を保てていた。」
「でも友人が死んだと知ってそれは崩れた」
「PーP…」
俺は無意識に友人の名前を呟く。
「君の友達も危ない」
「あの子は精神が弱い。」
ごもっともだった。
「僕が手助けをする。」
「…できる範囲で、だけど」
テレビ頭は不穏な笑みを浮かべた。
「…お前に何が出来る」
「君だけでは間に合わない」
「友達を助けたいんでしょ?」
俺はまだこいつを疑っていた。
信用なんかできるはずがなかった。
「…お前名前は」
「…コノ」
「…コノ…か…」
“コノ”
こいつの名前には聞き覚えがあった。
「君の名前は?」
名前くらいは教えるか。
「俺はキヨ」
もうこの時点で意識は戻っていた。
「どうするの。キヨ」
「友達を助けたいんでしょ」
改めてコノに尋ねられた。
「探す。だが俺はお前を信用してない」
「…それでもいい。」
コノは少し寂しげな表情を見せた。
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