テラーノベル
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「ルイーダ、ひとつお願いがある」
「どうしたの?」
「……もし、お嬢様のご実家――ガルシア家に、何かあったら……」
「……急にどうしたのよ。本当に。
エジンベアで何が起きているの?」
「ううん。今のところは、何もないよ」
そう言って彼は視線を伏せた。
「……ただね。どうしても、不吉な予感が消えないんだ」
――――
……そして、ついに当たってしまった。
ずっと傍に感じ続けていた不吉が。
「待って、どこ行くの?」
「ねえ、ザックさんったら!!」
「お願い、置いていかないで!!」
再びアリアハンを去ろうとした時の、あの声を
きっと一生忘れることは出来ない。
荒れ果てた廃墟を前に、
ただ膝をつき、泣き崩れることしか出来なかった自分の姿も――。
……分かっていた。
ガルシア家の長女。
エジンベアでも生粋の令嬢である彼女こそが、
この襲撃を引き起こした張本人だということを。
いつの間にか殺されていた閣下夫妻。
――その命を奪ったのが、
他ならぬ彼らの娘であったことを。
襲撃の数日前、
彼女が謎の影と密かに言葉を交わしていたことを。
その光景を、偶然目にしてしまったあの日から、
胸の奥で不吉な感覚が膨らみ続けていたのだ。
……
「……ねえ、本当に止めなくていいの?」
「そんな予感がするなら、
一刻も早く動かないと危ないわよ」
「……いや、いい。あえて言わない」
「……なんでよ。
その、大事なお嬢様が死んでもいいっていうの?」
「大丈夫」
静かに、そう言い切った。
「僕が仕えた先が、間違っていただけさ」
「……本当にあの一家は、滅びを知るべき」
「死をもって、ね」
「……」
少しの沈黙のあと、彼は続ける。
「……だが、お嬢様は違う」
「彼女には、滅びを知った上で、
もう一度、立ち上がってほしい」
「……だから」
「お嬢様だけは、死なせない」
コメント
2件
ザックさんかっけぇ…。セリフがイケメンすぎる…
ザックさんかっこいい…✨️