元貴との話が終わり、涼架を探そうと立ち上がると
「若井はここにいて。俺が涼ちゃん呼んでくる。」
「ありがと、元貴。」
本当に元貴には感謝してもしきれない。
しばらくして、涼架がやって来た。
「滉斗?どうしたの?」
「涼架・・・・。」
「?」
「ちょっと座って・・・。」
「え?なになに。怖いんだけど・・・。」
そう言って涼架は椅子に座った。
「落ち着いて聞いてほしいんだけど、俺の過去の恋愛が週刊誌に乗るかもしれません。」
「過去の恋愛?付き合ってたっていう彼女の?」
「いや、その後に・・・その、言いにくいんだけど・・・。」
「・・・?」
「グラビアアイドルと付き合ってましたっ。」
「・・・・で?」
「え?」
キョトンとする涼架に俺もキョトンとする。
「あの・・・、それで記者からこういったものが送られてきて・・・。」
先ほど元貴に見せた記者からのDMを見せる。
「・・・ねぇ、滉斗。」
「は、はい。」
「これだけ?」
「え?」
「話ってこれだけ?」
「これ、だけ、だけど・・・。お、怒ったりはしてない?」
「いや、流石にするわけなくない?」
あっけらかんという涼架。心底ほっとした。
「よ、よかったー。ビビったぁー!」
「いや、ビビったのはこっちだよ!深刻そうに言うから、どんな内容かとドキドキしたんだけど?!」
「ごめん!元貴に話したら、対応の足並み揃えるミーティング前に涼架に話しとけっていうから。」
「ふーん。元貴に最初に話したんだ?」
頬を膨らませる姿が可愛い・・・。じゃなくて!
「無理だってわかってるけど涼架に知られたくなかったし・・・。」
「僕達いい歳だし、今までいろいろあったってことは理解してる。過去も含めて、僕は滉斗が好きだから。」
にっこり笑った涼架。大好きなその笑顔を曇らせないでよかった。
「ありがとう!俺も今までの涼架含めて大好きです!」
「ふふふ、ありがとう。でもそっかー。Iカップのグラビアアイドルかぁ。おっぱ井は伊達じゃないねぇ。」
「本当に若気の至りで・・・。」
「いつからいつまで付き合ったの?」
「6年付き合った彼女と別た後、4~5か月くらい。」
「分かれた理由とか聞いてもいい?」
「あの頃、俺たち含めて周り全体が不安定だったじゃん・・・?」
「あぁ・・・。」
「このままじゃ駄目だ!と思って全てをリセットして音楽に専念しようと思って別れた。もちろん相手も納得して別れたんだよ。」
あの選択が間違っていたとは思えない
けど、多分それは俺の結果であって
相手は違う結果だったのだろう
だから今回こういうことになった
どうすることもできないけど
何か他にやりようがあったのかもしれない
「ねぇ、滉斗。」
「なに?」
「・・・・やっぱいいや。」
「言って!涼架の不安は100%取り除いておきたいから!!」
「・・・いや、今回どう対処するのかなって。」
「詳しくはこの後ミーティングで決めるらしいけど、不倫やNTRじゃないから沈黙貫いてって元貴は言ってた。」
「そっか。下手に反応したら尾びれ背びれが付くかもしれないしね。」
その時、俺のスマホが鳴った。元貴からのメッセージだ。
『話終わった?マネージャー達に話しておいたから第一会議室で今後の話し合いするよ』
「話し合いするって。」
「OK。」
二人で指示された広めの会議室に行く。
ある程度元貴からスタッフ達に話しをしていたので、すんなり話はまとまった。
「どういう状況になるか分からないけど、みんな一切反応しないように。笑ってごまかすか、事務所からきつく言われてるって言って。大丈夫。俺たちなら乗り越えられる。」
元貴の言葉にスタッフ達は頷いた。
そして
「大切な時期にご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
俺は頭を下げた。
コメント
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おぉー涼ちゃんがちゃんと理解できてるぅかわいいよぉ