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「どんな時も笑顔で必死に頑張ってる恭香が、俺の励みであり、支えになってた。いろいろ大変で、心も体も疲れきって……そんな時でも、恭香の笑顔思い出すとそれだけで頑張れたんだ。『文映堂』から少し離れて、カメラマンとして勉強していた時も、俺は勝手に……ずっと恭香を想ってた」
「……知らなかった。朋也さんが私を……そんなに前から知っていたなんて。信じられない話です」
あの頃、ただがむしゃらだった私のどこが良かったというの?
先輩によく注意されて、私の笑顔はいつも引きつっていたのに。
本当に……信じられない。
「知ってたよ、ずっと見てたから。俺は、その時から恭香だけを見てた。もちろん、一方的にだけど恭香を想い続けてきた。俺の心にはずっとお前ひとりだけしかいない。これからだってそうだ。俺にはお前が必要なんだ」
朋也さん……
これは夢?
本当に現実なの?
涙がどんどん溢れてきて止まらない。
最近、泣いてばかりいる。
私はこんなにも涙もろかっただろうか?
大好きな水族館で、魚たちに囲まれて、こんなにも素敵な告白をしてもらった。
確かに動揺しているし、心臓の鼓動はますます激しくなっている。
だけれど、朋也さんが私に言ってくれたことが嘘でないなら……私はその思いを素直に受け取りたいと思った。
なぜ? どうして? と、心に積み上がっていた朋也さんに対する疑問や不安が、今、一気に消えた気がした。
「恭香……俺と付き合ってくれ。結婚を前提に……」
朋也さんの言葉が胸に迫る。
ドキドキが止まらなくて、息の仕方もわからなくなる。
私も朋也さんのことが好き――
その気持ちには嘘はない。
なのに……どうしてなの?
このまま朋也さんの胸に飛び込みたいのに、私の頭の中に、やっぱりまた一弥先輩が出てきてしまう。
嘘よ、こんな時にまで出てこないで!!
思わずそう叫びたくなった。
こんな素敵な告白をしてもらったと言うのに、菜々子先輩と別れた一弥先輩の顔が浮かんでしまうのはなぜなの?
私はまだ……一弥先輩のことが好きだと言うの?
もう何が何だかわからない。
自分の気持ちが定まらなくて、わからなくて、不安でたまらない。
「わかった。すぐに答えは出ないよな。返事は待つ。だけど、俺の気持ちが変わることはないから。ずっと恭香のことを想ってる。俺はお前と……ずっと一緒にいたいんだ」
「朋也さん……」
こんなにも情熱的で気持ちのこもった告白に心が震えた。
涙は途切れることなくこぼれ、私の頬を濡らし続けた。
私は、朋也さんの言葉に対してゆっくりうなづいた。
ニコッと微笑み、黙って歩き出す朋也さん。
ごめんなさい……
すぐに答えは出せないけれど、いつか必ず自分の気持ちを見つけて、ちゃんと朋也さんに伝えるから。
正直、まだ夢見心地でふわふわして変な感覚だけれど、朋也さんのような最高に素敵な男性が、私なんかを好きになってくれたこと……
とにかく今は、その事実だけを胸に抱きしめようと思った。