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#ファンタジー
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あっという間に修学旅行は最終日を迎えた。
少し名残惜しい気持ちもあるけれど、早く実里くんや武蔵先輩にも会いたいな。
「わぁ!すごい!」
目の前に広がる大きな水槽に思わず感嘆の声をあげる。
朝食後は美ら海水族館で自由行動で、私は奈々子と伊代と入り口から順番にまわっていた。
一面に青い世界が広がっていて、非日常な別世界にいるような気がしてしまう。水族館ってこんなに綺麗だったんだなぁ。
沖縄に来てよかった。 新しい発見や景色をたくさん見れて、毎日が楽しいことばかりだ。
「水沢さん」
私を呼ぶ柔らかい声に振り返る。
修学旅行に来て、彼と話すのは初めてだ。どうしたんだろう。
「少し彼女を借りてもいいかな」
落ち着きがあり、柔らかな物腰で彼は奈々子と伊代に声をかけた。
「きゃーお誘い!? いいよー!」
「どうぞどうぞ!いってらっしゃーい!」
奈々子と伊代が楽しげに答える。私の返事を聞かないまま、奈々子によって背中を押された。
「え、ちょっ!?」
「じゃあ、行こうか」
穏やかな笑みを浮かべて彼――泉くんは私の隣に立った。
「う、うん」
泉くんと二人で話すのは少し緊張する。
きっと彼と話す内容は一つしかないし、今度はどんなことを言われるのだろうかと身構えてしまうんだ。
「ねぇ、水沢さん。修学旅行、楽しい?」
「へ?うん、たのしいよ。泉くんは?」
魚達が心地良さそうに泳いでいる水槽を眺めながら進んでいく。
その進みはゆっくりで、泉くんは私の歩調に合わせて歩いてくれるのがわかった。泉くんの本心を知っても、やっぱり優しいって思うときがある。
「水沢さんとこうして二人で歩けているのが嬉しいよ」
「……何言ってるの」
「これは本当だよ」
和葉といい、泉くんといいストレートすぎるよ。
ここが暗くてよかった。明るい場所だったらきっと顔が赤くなってるからバレちゃう。
「あともう少しだね」
その言葉がどういう意味なのか、すぐにわかった。
「……うん」
優柔不断だって思われるかもしれない。けど、期限まで私はきっと悩み続ける。
実里くん、潤、和葉、歩くん、武蔵先輩。
王子役に相応しくない人なんていない。
みんな優しくって、温かくって困ったときは守ってくれるカッコイイ王子様みたいな人達だ。
「水沢さんの立場だったら和葉が一番いいのかな」
にっこりと泉くんが微笑む。
……泉くんはなんでこんな話するの?