「おい、無一郎。大晦日だからってそんな
だらだらしてたら太るぞ。」
俺はこたつの中にいた弟に怒りつけるが、
それでも無一郎はぬくぬくゆっくりとした
口調で喋る。
「やだなぁ、太るだなんてそんなこと
言わないでよ。そもそも大晦日くらい
だらだらしていいだろ。部活もないんだし
今だらだらしないでいつダラダラするの?」
「誰のせいで俺が洗濯してると思ってるんだ」
えへへ、と呑気に笑う無一郎を見て、
俺はついついため息が出そうになる。
「出かけるから着替えろ。」
「えっ、どこ行くの?」
「決まってるだろ。夜ご飯」
「もちろん大晦日だから豪華だよね!?」
「さあな」
俺たちはスーパーで鍋の具材や 大根、
年越しそば やアイスなど、とにかく
色んなものを買って 家に帰った。
「俺は料理するからお前は風呂掃除でも
してこい。」
「はーいっ!」
無一郎は機嫌がいいのか、鼻歌を歌いながら
風呂場へと向かった。
なんで機嫌がいいのか、俺にはわかる。
ふろふき大根だ。ふろふき大根を食べれる
からあいつは機嫌が良くなっている。
食べ物にすぐ操られるなんて、どういう
頭してるんだ。
それはさておき、よし、と小声を言って
エプロンをつけた俺は、早速料理に
取り掛かった。
トントンとリズムよく食材を切り、鍋に
入れる。鍋はだいたい食材を切って入れる
だけなので比較的簡単だ。しかも温まって
美味しい。これが一石二鳥というやつ
なのだろう。
全ての食材を切り終え、鍋の中に入れて
いく。
ごとごと、ぐつぐつ。いい匂い。
今日は無一郎の大好きな豆乳鍋だ。
きっと喜んでくれるだろう。
「にいさーん。風呂上がったよー。って…
わぁ!!いい匂い!!」
そのとき。ちょうど無一郎が風呂に上がり、
匂いを堪能していた。
「はいはい。あと少しでできるから待ってろ」
「うん!!」
しばらくして鍋も出来上がり、ふろふき大根
を作り終えると、こたつの上に 料理を
置いた。
本日のメニューは、豆乳鍋、ふろふき大根,
うん。我ながらいい出来だ。俺は満足げに
頷く。
「早く食べようよ!!」
「わかったわかった。手合わせろ。」
俺たちは手を合わせ、頂きますをした。
無一郎は早速ふろふき大根にかぶりつき、
きらきらとした笑顔を見せる。
「うん!!やっぱりふろふき大根美味しい!」
「鍋も食えよ馬鹿…。ほら、皿貸せ。
入れてやるから。」
「ありがとう!!」
俺は無一郎の皿を受け取り、野菜や肉、
無一郎の好きな大根も入れてやる。
「ん、沢山食え」
「ぇへ、ありがとう兄さん。」
無一郎はそれを零れないようにそっと
受け取り、ふー、っと冷ましてから
1口いただく。
「ん~!!おいひぃ、兄さん最高」
「良かったな。」
おとうとの様子を見てから、自分もご飯を
食べ進めた。
「「ご馳走様でした。」」
ぱちん、と手を合わせて言う。
無一郎は相変わらず食べ終わったらすぐに
だらだらと寝っ転がって紅白を見始める。
「はぁ、食っちゃ寝食っちゃ寝するなよ」
「べつにいいもーん。」
俺は横目でみては溜息をつき、鍋諸々を
片付けておれもこたつの中に入る。
「……今年も終わっちゃうね。」
「…そうだな。」
「どうだった?」
「どうだったって…。まぁ、良かったんじゃ
ないか??」
「…ふふ、そうだね。僕も兄さんと一緒に
居れて良かった。」
「……来年もまた色んなとこ行こうな。」
「うんっ!!」
こいつの笑顔にはどうやっても勝てないと
思う。俺はきっと来年もこいつに
振り回されるだろう。
だらだらとしていると、年明けまで残り
1分になる。2024年ともおさらばだ。
「兄さん!!後ちょっとで年明けだからさ、
ジャンプしよ!!」
「は??」
「2025年地面にいなかったからまだ2024年
~みたいなことやろうよ!」
「何言ってんだお前…」
「いいからいいから!早く!立って!」
俺は無理やり立たされる。
「さん!!にー、いち!!」
年明けの瞬間。俺たちはジャンプをして、
年を明けた。
「兄さんあけましておめでとう!!」
「……一体なんだったんだ。まぁ、
おめでとう、。」
「今年もよろしくね!!」
「…嗚呼。」
幸せな空間のなか、俺は我慢できずに
最愛の弟の可愛い口にキスをした。
あとがき
皆様、新年明けましておめでとうございます!!今年もよろしくお願いします。
本当は大晦日に投稿したかったのですが、
年明けとなってしまい申し訳ないです。
こんな私ですが、どうぞこれからも、
私の小説の時透ツインズをよろしくお願いします‼️
コメント
2件
あけましておめでとうございます! 今年もよろしくです~! これからもまな板さんの作品拝見させてもらいます✋✨
あけおめです! 今年もよろしくお願いします🙇♂️ 昨年に引き続き、まな板様を応援させていただきます!