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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・恋愛要素が今後恐らくきっとほぼない
・868のBOSSたちがロスサントスに入国する以前の物語
・投稿頻度がノロマかつ不定期
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行ってらっしゃいませ( ◜ᴗ◝)و
「音鳴さんこの人も切符おねが〜い。」
「あ、おっけーす。」
現在、大型犯罪が同時多発していて署員たちは大忙しだった。驚きなのは、これが[時々]や[たまに]とかいう頻度ではなく、ほぼ毎日なのである。俺らが入る前はどれほど大変だったのか、そんなことは想像したくもない。
(まぁ、本採用されてもう何ヶ月も経つし、とっくに慣れてしまったわけやけど……。)
そして、引き渡された犯人を牢屋に入れ、タブレットを開きながら罪状を並べていく。
「また君か。」
「無免許、公務執行、重強盗…。」
「いや〜前も君にやられたし、銃の扱い上手いんだね。」
「…うっす。じゃあ全部切符きり終えたんで、プリズン送りますよ〜。」
「警察ってさ、自分の功績に見合った給料じゃないよね。やってらんないんじゃない?」
「…そう、かもっすね。」
「じゃあ、うちのギャングに入らないか?すぐに大金が手に入るよ。」
「……。」
警察官は公務員であり、将来安泰の給料が確約されている。はずなのだが、この街に来てその認識は大きく覆された。俺が多くの犯人を検挙して切符をきっても、結局は警察金庫にまとめられ綺麗に分割される。そりゃ1人あたり大した金額になるはずもなく、皆常に金欠状態という訳だ。とはいえ金を稼げたところで、家賃や食費、罪悪感増し増しの有給を取るかしか使い道はない。だが、俺には欲しいものがあった。警察業務のせいであまり乗らないと分かっているが、どうしてもおしゃんな自家用車が欲しい。そのためだけに、俺は毎日汗水ながして働いているようなもんだった。
(家に関しては、宿直室で寝泊まりすりゃ色々効率良いし、家賃とか払わなくて済むんよな。)
2階に設置された宿直室は、タコさんのハウジングによって広く快適になったため、高頻度で利用している。いっそ所持している土地、物件を売り払ってしまおうかと悩んでいるところに、署員たちの会話が聞こえてきた。
「この前カジノ行っていくら稼いだの。」
「それがさ、ここだけの話50万勝った(笑)」
「マジ!?───っ!」
マジか、と俺も心で反応してしまう。そうだ、色々ケチってちまちま稼ぐより、カジノで一攫千金を狙った方がすぐに大金が手に入る。何よりその方が性に合う気がした。そうと決まれば早速行くか、と俺はパトカーを走らせる。
「あのディーラー絶対やってますやん!!」
ブラックジャックをやり始めてすぐ、までは良かった。手持ちの倍以上を稼ぐことに成功し、その時点で止めておけば良かったのだ。おしゃんな車だけでなく、最近搬入されたという新車を夢見てしまったがために、さらに賭け進めてしまった。俺は弱い。そうしてとぼとぼ駐車場に向かい、自分のパトカーに乗り込む。ハンドルに手をかけデカいため息をつくと、いるはずのない人から声をかけられた。
「パトロールしに行くって言ってなかったか?」
「キャーーーー!?」
「ちょっと、事件性ある悲鳴やめて(笑)」
「なんですかなんですか!?てかレダー…さんの方こそなんでこんなとこにっ。」
「いや、たまたま通りかかったらパトカーあって、インパウンドのし忘れとかかな〜って。」
「あぁ、偉いっすね……。」
「で?何してたの音鳴。」
「スゥーーーー、(圧やばいッ)いやちゃいますやん…。」
「てか俺、カジノちゃんとやったことないんよな。ブラックジャックとか楽しいってよく聞くんだけど。」
「いやぁ、あれはクソゲーっす。ディーラーがズルつこてるんで、俺もさっきまんまとやられましたわ。」
「あ、やっぱりやってたんだ。」
「………。」
呆気なくバレてしまい、これ以上はぐらかすことが出来ないと悟る。しかし、その後返ってきたのはカジノの楽しみ方とやらを教えてよ、という予想外のお願いだった。
(レダーさんってもっとこう…頭固くて、怖い人なんちゃうの??)
一応、自分の上官であるため逆らえる訳もなくむしろいいのか、という勢いで快諾した。乗ったばかりのパトカーから降り、案内料を後から貰おうとこっそり企むのだった。
「え〜この大量のチップどうしよう。」
「あっちの換金所行ってきたらええですやん。」
「はぁーい。」
デイリールーレットで当てた食べ物は、今日の俺の運のなさを物語っていた。それに比べて、全くなんなんだあの人は。ふざけて多めに賭けさせたのに、ことごとく勝ちやがって。欲がないほど当たるとはこういうことを言うんだな、と要らぬことを学ぶ。そして、一足先にパトカーに乗り込み、戦利品の食べ物[ねこぱん]とやらを見つめる。包装を止めていた憎たらしいネコのシールを剥がし、やけくそにパンを頬張った。菓子パン特有の少しパサついた甘い生地だが、中のチョコクリームがふわふわしていていい感じに調和がとれている。ちょうど糖分取りたかったしいいか、とさっきまでの苛立ちはどこかへ行ってしまった。ふと、助手席にレダーさんのらしき無線が置いてあることに気づく。
(無線置きっぱでカジノ行くなんて、重要な連絡があったらどうすんねん。いやなかったけど。)
そして、行き場の失くしたネコのシールと無線を交互に見て、置いていくのが悪いと貼ってやった。
パトロール。前の職場では2人ペアになってよくやっていた。人がいない時でもパトロールは必須で、1人で忙しなく回っていたのは記憶に新しい。しかし、ここロスヨントス警察署ではそれが義務化されていない。ギャングが溢れかえり大型・小型犯罪がひっきりなしに起こっていれば、仕方の無いことかと納得はいく。しかし、パトロールと称しサボる署員が出てきて、不労所得者が増えるのはどうも宜しくない。まぁその中に今日俺が追加された訳だが、レダーさんは何故目を瞑ったのだろう。そんなことを考えながら2人で署に戻っていると、急に大金が振り込まれる。動揺で何も無い道路の真ん中を急ブレーキしてしまった。
「ホ?えなんですかこの大金。」
「え、別に俺金いらないから欲しそうな奴に。」
「うわーほんとに案内料くれんだよ。」
「なに、案内料って。」
「何でもねぇっす。てか!!金いらないんなら、なんで警察やってんすか。」
「あ〜でも前まではね、金目的だったよ。」
「前まで?今はちゃうんすか。」
「うん、今は白市民の人たちのためやね。音鳴はやっぱ金なん?」
「まぁ前の職場ん時からそうっすね。」
「─────。」
「俺、別に金目的で警察やってないんで。ギャングやるつもりもないです。」
「いやいや、君……。」
「はーい、何やってるんですか。勧誘とかやめてください。音鳴くん、だよね?こいつ指名手配犯だからこちらで引き取るね。」
「はぁ…お願いします。」
ギャングに勧誘されるのは過去にも何度かあった。褒め称えたり金を餌にしたり、その手法は様々で前までの俺は正直揺らいでしまっていた。しかし、今は堂々あんな言葉で断れる。
(いつの間にか警察にこだわる理由を見つけてたんやな俺…。)
この時少しだけ、自分らしい道に歩を進められたような気がした。
コメント
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今回もご愛読ありがとうございます!もうそろそろ誘拐されたレダーを救わなければですね……。引き続き私の監視をよろしくお願いします、頑張ります( ᐛ )