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武道))これ終わったら帰れる〜、
千冬))これからだっての。
武道))俺受けてないみたいなもんだもん。ほぼ見学だし。
千冬))そ〜かもだけど
先生))じゃぁ2人組で組んで準備体操するぞ〜。
千冬))手話)準備体操するってさ。
武道))うん。
1234……
2234……
1234…
武道))じゃぁ頑張って。
千冬))千冬)おう。ちゃんと俺の活躍見とけよ?
武道))かっこ悪いところしか見ないから大丈夫。
千冬))手話)俺の運動神経舐めんな
武道))ァハハ、まぁ怪我だけは気をつけてね。
千冬))︎︎👍
武道見学中
何も聞こえない俺には出来ることが限られている。その分、周りにはとても迷惑をかけているのもわかっている。
生まれつきのこの病気の事を俺は仕方ない事だと思っているし、それを恨んだりはしない。
ただ、千冬には無理に手話を覚えさせたも同然のようだった。
俺のためだけにそんな苦労しなくてもいいのに。そんなふうに思ってしまうのは頑張って手話を覚えてくれた千冬に不躾なのも分かっている。
小さい頃に出会った人生初めてできた友達を思い出す。
あれは確か俺が小学二年生になったばかりの時だったと思う。
聞こえないことを理由に小学1年生の時から言わゆるいじめを受けていた。
暴言だけなら口をなければ分からないからいいものの、
学年が上がると共に叩かれたり蹴られたりもした。
ただ、小さい頃の俺にはいじめと言う言葉は無く、意地悪な人たちだな、という事だけが分かっていた。
この事は両親にも勿論、誰にも話したことは無かった。
そんな中でもそれなりの幸せはもちろんあった。
特にあの日の出来事は多分一生忘れないだろう。
ある日の事だった。小学2年生に上がってすぐの事。
どうしようもなく心が苦しくて学校の帰り、誰も居ない公園のブランコに座りながら静かに涙を流していた時だった。
目の前に人影が現れたのを見た。
それと同時に俯いていた俺の視界に顔がひょこっと覗くように見つめてきた人が居た。彼は棒のついた飴玉を咥えていた。
驚いて顔を上げる。
その人は何かを話しているようだったが飴を咥えているせいで何を言っているのか全く分からなかった。
驚いてなのか、余計涙が溢れた。
キョトンとした顔で涙をボロボロ流す俺を見つめる、そこには2人の少年たちがいる事が分かった。
飴を加えた少年。
髪を半分剃って頭皮に龍のタトゥーを入れている少年。
2人は何か俺に話をかけているようだった。
けれど、ぼやけた視界で何を言っているのか口元見えない。
ゴシゴシと目を擦り涙を止めようと必死だった。
案外素直に止まった涙に少し驚くがそれ以上に目の前の2人が気になる。
と、龍のタトゥーを入れている人が気付く。
お前、耳、聞こえない?
ぼやけた視界もスッキリしたおかげで何を言っているのかが分かった。
コクコクっと首を縦に振る。
すると、飴を咥えた少年が近くの落ちた細めの枝を手にとって地面の砂に文字を書き始めた。
『なんでないてんの?』
文を見て今までされてきた事がフラッシュバックする。
また涙が溢れ出る。
武道))グズッ…皆……俺に意地悪するの。耳……グスッ、聴こえないから……
『万次郎
まん じ ろう』
『堅
けん』
この人達の名前なのだということがすぐに分かった。親切に読み仮名まで書いてくれた。
お前は?と、言わんばかりに堅君は武道に枝を渡してくる。
『たけみち』
万次郎))じゃぁたけみっち!今日から俺のダチ!な?
口元を見てれば何となくわかる言葉。
一瞬疑う。何も読み取れなかったことにしようとした。
だけど、そう思うには少し遅かったのだろう。
余計涙が溢れ出る。こんなに人前で泣くのは何時ぶりだろうか。と、幼いながらに思った。
顔がグチャグチャだったのだと思う。2人は俺を見て少し笑う。けれどそれは馬鹿にしたような笑みでは無かった。だって、優しい顔で笑うんだ。
2人から感じとれるこの温かさは『優しさ』というのだろう。
そんなことを思い出しているとヴーッヴーッヴーッと、携帯のバイブ音でハッとする。
武道))(マイキーくんからだ)
彼は、とある不良グループ『東京卍會』と言う所のトップである。
本名は、佐野万次郎。通称マイキー。
そんな彼は不良界では名の知れた大物だ。
そんな彼は小学2年生の時人生初めての友人になってくれた人物だ。
あの時からよく遊んでくれていたものだ。
彼から来たメッセージはこういったものだった。
万次郎))『今日集会あるけど来る?迎えいくけど』
武道))『行く〜!あ、そうだ。最近できた出店なんだけどたい焼き販売してたんだ✨買って渡そうと思っていたんだよね〜💪🏻✨』
万次郎))『たい焼き…😻わかった。いつもの時間に迎えいく』
武道))『ありがとう!』
本当に優しいの。本当に不良?ってくらい。
たまに無理やりな部分もあるし、喧嘩もそりゃぁするところを見かけてるけれど、それより仲間や家族、友人は人目見てもわかるくらいには大切にしてる。
何より、マイキーくんの周りは何時もキラキラしてるんだ。
そこに本当に俺がいてもいいのだろうか……。
その瞬間、強い痛みに襲われた。
俺の顔面にバスケットボールが直撃して飛んできたのだ。
千冬))大丈夫か?!たけみっち!
先生))おい花垣大丈夫か??
武道))へ…?!…何??痛った……へ??
千冬))おまッ、鼻血!!
武道))……ぁ、
千冬))こいつ保健室連れていきます。
先生))お、おう、頼んだ。
と、千冬は俺をいわゆる『お姫様抱っこ』して保健室まで運んでくれた。
全然歩けたし、何も姫抱っこしなくても……とは思ったがあまりのびっくりした衝撃に驚いて混乱していたのでそれどころでは無かった。
(その頃周りも驚いて、女子は悲鳴をあげていましたとさ。)
先生))鼻血も止まったみたいね。目眩などある?
千冬))手話)目眩とか大丈夫か?
武道))平気、デコ痛いけど…。
先生))少しコブが出来てるから湿布貼っといたけど……。酷くなるようだったら病院行きなさいね。
千冬))手話)酷くなるなら病院行けって。
武道))はぁい。
先生))まだあと15分くらいあるから休んでなさい。松野くんはどうする?戻る?
千冬))いえ、こいつと居ます。
先生))そう。じゃぁ先生職員室いるから何かあったら呼んでね。
千冬))はい。
武道))戻ってよかったのに。
千冬))…。
武道))……?
千冬))(手を伸ばせば止められたはずなんだ…。なのに…、)
武道))……お前、足くじいてんの?
千冬))……は……ぇ、
武道))見せてみろよ。
と、武道は千冬の裾幅を少しめくる。
武道))少し赤くなってる、お前良くこれで俺を運んだよな。
千冬))……
武道))先生いなくなったし…勝手に使っていいかな……。
と、武道は勝手に棚を漁って湿布とタイピングを取り出した。
千冬にベッドに座る様に指示して武道も椅子に座る。
千冬の足を武道の太ももに乗せ簡単な手当を済ます。
武道))こんなもんかな。どう?ちゃんと固定されてる?湿布剥がれそうじゃない?
千冬))……
武道))…、もしかしてそんなに痛い??やっぱ先生呼ぶ?
先程から反応無しの千冬。
千冬))手話)やっぱお前とダチになって良かったよ。
武道))え〜、なに急に……怖…
千冬))(バレてないって思ったのに。周りにもバレなかったのに…。なんでお前だけは……。あぁ、そうだ…俺が初めてこいつに話しかけた時も同じようなもんだっだな。)
武道))……千冬?
千冬))手話)へいき。ありがとな。
武道))おう。。
Heyおかえり🤝
そしてまたね!