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お店に入り、テーブルに向かい合わせで食事をする。チーフがナイフとフォークを使う様はとてもスマートでかっこ良くて、ついつい見とれていると、
「……どうかしたか?」
ふと顔を上げた彼から問いかけられた。
「い、いえ、なんにも……!」
気まずい思いで、持っていたフォークとナイフを慌ててカチャカチャと動かす。
「なんだか顔が赤いような気もするが、辛いものでもあっただろうか?」
「ああ、いえ……」すっかり顔に出てしまっていたことに、「……その、かっこいいなと、ちょっと見とれていて……」と、うつむいて打ち明けた。
「そうか、嬉しいよ」と、照れを隠すように、メガネのブリッジを指で軽く押し上げたチーフが、
「……君にも、見とれてる」
だなんて、一言低く呟いたものだから、心拍数が一気に上がって思わずフォークを取り落としそうにもなった。
「わた、私に 見とれるところなんて……っ」
文字通りにわたわたとして、取り落としかけたフォークも上手く掴めないでいると、
「……好きだよ。君の、そういう可愛いところが」
チーフに微笑って告げられた瞬間、沸騰したやかんみたいにシュン! と、顔から湯気でも出るんじゃないかと思った……。