コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ブライダルフェアを終え、明けた月曜日に、せっかく紹介をしてくれたんだものと、ちょっと恥ずかしくはあったけれど、プリントされた写真をお父さんへ見せることにした。
「おおぉー、これは……!」
写真を見た父が、大げさな声を上げる。
「……お父さん、驚きすぎだから……」
毎度のことながら、仰々しい反応に、いくら娘ではあっても辟易してしまう。
「いやおまえな、これが驚かずにいられるわけもないだろうが! ……彩花もついに結婚か。父は、うれしいぞ!」
やや諌めたつもりが、全く堪えていないような素振りに、苦笑がこぼれる。
「もう、本当に大げさだってば」
苦笑いで言う私に、
「バカだな……」
と、父が急にまじめ顔になる。
「大事に育ててきた娘が、いよいよ結婚だというのに、感動しない父親がいるわけないだろうが」
目尻にわずかに滲んだ涙を指で拭う仕草に、
「もう、お父さんたら……」
私までもらい泣きをしちゃいそうで、無理に笑い顔を保とうとした。
「それと、『今度のお休みにでも、お食事をどうですか?』って、貴仁さんから伺って来たんだけど、お父さんの都合はどうかなって」
「そうか! 私はいつでもいいんで、忙しいだろう彼に合わせるから」
「うん、わかった」と、頷く。
「貴仁さんには、そう伝えておくね」
「ああ、楽しみにしているからと、そう言っておいてくれ」
「ハイハイ」
相変わらず前のめりなくらいに乗り気な父に、いつもながらに笑いを噛み殺す。
「……あのお父さん、ひとつ言っておくけど、会食の時にはあんまり暴走はしないでよね?」
そう釘を差した私に、
「父さんが、いつ暴走をしたと言うんだ」
と、大真面目な顔で父が答えて、堪らえていた笑いを吹き出しそうになってしまった。