──貴仁さんと予定をすり合わせ、会食の日取りは二週間後の日曜日に決まった。
ブライダルフェアで訪れたホテルのレストランで、父と私と彼とで顔を合わせる。
意外にも、めっぽう固くなっているのは、父の方らしかった。
「……ふつつかな娘だが、よろしく頼みます!」
シャンパンで乾杯をした後で、急にお父さんが堰を切ったように口に出して、
「ちょっと、もうー……」
私まで恥ずかしくなりそうにも感じる。
「いえ、こちらこそ、よろしくお願い致します」
ただ、当の貴仁さんが物柔らかな笑顔で応えてくれたことで、場はつつがなく和んだ。
終始テンパり気味で、グラスを倒しかけたり、フォークを落としそうにもなったりと、せわしない父だったけれど、コース料理が終盤に差し掛かると、ふと居ずまいを正した。
そうして──、
「……ありがとう、貴仁君。彩花との結婚を決めてもらって。私はもちろんだが、私の亡くなった妻も、そして貴仁君の御母堂も、みな喜んでいるだろうから。……それに、君の父親……久我の奴も、心からきっと……君たちの結婚を祝ってくれていると……」
真剣な顔で語った──。
最後の方は感極まってあまり上手く喋れずに、涙ながらにもなる父に、私自身ももらい泣きをしてしまいそうになる程だった……。
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