コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ヘレンぼくについていてくれ。この屋敷から一緒に出よう」
「あ、モート。ジョンが生きていたのよ……あのジョンよ……」
「……ヘレン……いや、ここには黒い魂はもういないんだ」
「え? どういうことかしら?」
「多分だが。もう、逃げてしまったのかも知れない」
「そう……。わかったわ」
モートと一緒にヘレンが厨房から出ると、凄惨にアンデッドの肉片が床に散らばっていた。
未だ窓の外は凄まじい吹雪が荒れ狂っている。
ビュウビュウと窓を吹き上げる吹雪は、ホワイトシティでも年に幾度も来ない猛吹雪だった。
ヘレンは寒さに震えながら、疑問に思ったことを歩きながらモートに伝えた。
「ジョンが……ジョンは……言葉を交わしたけれど、なんていうか……そう。すでに死んでいるのよ」
「うん? 何を言っているんだい? ヘレン?」
ヘレンは混乱した頭を振り、ある種のおぞましさを覚えて身震いしたが、勇気をだしてモートに話した……。
「ジョン……あの人は、なんだか棺桶を見ているような雰囲気がしてたわ……もう、この世にはいない。いや、死者とも違う別の存在で……なんていうか……」
「……」
だが……。
離れた場所からガシャンと複数の窓が割れる大きな音がした。