あの日から僕の生活は変わり始めた。
隣にはきんときがいつもいて、休み時間には寝ようとした僕にしつこく話しかけてきては休み時間の終わりまで僕の前の席にいつくようになった。
お昼になれば彼はお弁当を持って僕の元へ駆け寄ってきては一緒に食べようと誘い僕のお弁当まで持ってくる。なんなら放課後になれば僕を探し出しては一緒に帰ろうと言ってくる。そんな彼の行動に周りは不審がっていたのかとうとう僕に質問してくるやつが出た。
「なぁ、最近のきんときどうしたんだよ?」
きりやんだった。きりやんはきんときの幼馴染らしくNakamuとも仲良くしていて誰彼構わずフレンドリーに接する良い奴だ。だからそんな彼の幼馴染が急に僕へ粘着行動を始めたのが不思議で仕方ないのだろう。
「さぁ?僕も分かんない。けど最近きんときのおかげで助かってるよ…」
1人で休み時間を過ごし、1人で昼食を食べ、1人で日替わりに帰路に着く。1人で寂しくて辛くて耐えられなくなっていた時に、一筋の光が僕を照らしてくれた。
暖かく優しくて素敵な。でもそれは彼が僕に好意を持ってくれているからだった。僕はその好意に応えられないと伝えるべきなのに、それを出来ない僕を憎む。
知ってしまった。彼の優しさを、彼の強さを、彼の良いところを、もう友達のように接してくれだなんて頼めない。僕はその好意を心地いいと思ってしまっている。
だからと言って僕は彼が好きか?そう問われると返事が出来ない。僕の心の中にはいつも僕のそばにいたNakamuがいた。
でも彼のことを考えるといつもシャークんの顔が浮かんでくる。僕の方が最初に彼をすきだったのに、彼と仲良くしてきたのに、彼と長く過ごしたのに……
選ばれたのはシャークんだなんて、皮肉にも程がある
「…Broooork?」
考え込んでいた僕の顔を覗き込むかのようにきりやんは顔をかしげる。それに気づいた僕は小さくごめんと謝ってから話を続ける
「きんときは今の僕の心の支えだよ。今きんときが傍に居てくれるから僕はこんなにも落ち着いていられる。きっともうきんときがいなくなっちゃったら僕…」
口に出して、後悔した。僕は自身が思っていたよりも彼を好きになっていたことに気づいたからだった。でもそれはNakamuと同じかと聞かれると分からない。でも、きっと違うのだと思う。これはきっと愛であって恋じゃない
「それって…きんときが好きってこと?」
真剣に、嘘偽りなく純粋な気持ちでそう問うきりやんに僕はまともに答える気がないと言わんばかりにふざけて笑っては
「好きだよ〜w」
そう答えた。今の僕にとって、これが最前の選択なのだと思ったからだ
「Broooork……」
僕は、聞いてしまった。幼馴染の好きな人の話を
悪いとは思っていた、盗み聞きなんて悪趣味なことなんて本当はしたくなかった。でも、Broooorkがあんなにもきんときのことをそんなふうに思っていただなんて思いもしなくて…
でも考えてみると突然俺と帰らなくなって最近になるときんときと帰っているのをよく見かける。お昼もきんときと過ごし、休み時間も必ずきんときが彼のそばにいる。
悟ってしまった。どういう意味なのかを
もう、僕には彼の隣に立つ資格は本当にないのだと…分かってしまった。きりやんとBroooorkの話をそばで聞きながら俺は涙をグッと堪える。泣いては行けないんだと、だって…最初に冷たくして、突き放したのは
紛れもない僕だから__
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