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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

106 - 第四章 永遠の愛を、二人で EP.3「贈られた指輪の意味とは…」⑪

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2025年03月16日

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食事を終えて彼の部屋に戻ると、泊まるという選択をしたことに、急にドキドキしてきた。


「どうした?」


居すくまって足の間に両手を差し入れたかっこうで、ソファーに縮こまって座っていると、彼が心配そうに声をかけてきた。


「えっと……なんでも……」


何を話せばいいのかわからなくて、ますます肩をすぼめて小さくなる。


「もしかして泊まることを、後悔していて……?」


うつむきがちな顔を、彼に覗き込まれて、


「あっ、いえ、決してそんな……。だけど、なんだかその、泊まるだなんて、ちょっと緊張してきちゃって……」


思っていることを、つっかえつっかえ話した。


「そうか、私も緊張している……」


低くボソリと呟かれた一言に、「えっ、貴仁さんも?」と、訊き返す。


「ああ、緊張しないわけがない。君が、今夜はずっといてくれるのに……」


片腕に腰がふっと抱き寄せられると、空いていた距離がにわかにせばまった。


身体が触れるほど間近に寄ると、緊張がピークに達して、


「あ、あの……クッキー、このクッキー食べませんか?」


目についたテーブルに置かれたままのクッキーに、つい逃げ場を探した。


「ああ、うんクッキーか。そうだな、まだ食べていなかったな」


「……ええ。こ、これなんて、おいしそうで、とっても」


ぎくしゃくとした空気に見舞われる中、一枚を摘まんで口に入れたけれど、


「……しけちゃってますね」


ずっと置きっぱなしだったことで、せっかくのクッキーの歯ごたえが失くなってしまっていた。


「……そうなのか? どれ?」


彼が言うなり、私が口にくわえたクッキーの端っこをかじって、不意討ちな急迫きゅうはくにびっくりするあまり、クッキーを取り落とした。


「わっ、ごめんなさい……!」


「いや、私が悪かった。クッキーをかじる君の可愛さに、つい引かれて……」



そんなことを素で告げられたら、胸のドキドキは収まるどころか、よけいに高ぶるのは言うまでもなく、まるで初めての夜を迎えるみたいにもじもじとして、赤らんだ顔を下に向けた。


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