これは俺がゲームで夜を明かした翌日の出来事だった。
その日は朝靄がかかる時間帯から強烈な睡魔が俺に襲いかり、俺は自然と瞼を閉じていた。
そして、俺はとある夢を見た。
薄暗く、一面黒色の空間で、俺は目が覚めた。
自分の直感が、この場に長く居たら駄目な感じがすると、脳内では警報が鳴り響いていた。
*
俺は誰か居るかもしれないと言う期待を込め、手始めに周りを見渡したり、歩いたりしたが、何も変わらなく、見飽きた景色となんら変わりなかった。
次は少し気は引けたが、自分の声が枯れるまで叫んでみたが、無論、誰も見つかりやしなかった。
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どれくらい時間が経ったのだろうか、俺は長時間の孤独と、この場の独特な嫌な雰囲気に、俺は今にも泣き出しそうになっていた。
すると、遠くから 自分の名前を何度も繰り返して呼ぶ声が聞こえた。俺は疲れて動かなくなってしまった足を無理矢理にでも進めていると、数分程たった頃だろうか、暗い空間に一つだけ輝く白い光が差し込んでいた。
キラキラと美しく輝く白光に、一つの人影が薄らと見えた。
「ぁ・・・」
小さく漏れた俺の声に、目の前の奴は、口角をニヤリと上げて言った。
「やぁいっくん、こんな所で会うだなんて、偶然だね。」 そんな胡散臭い笑みを浮かばせながら、893は何も言わずに俺の目の前に手を差し伸べた。
「89・・3?」
つい先程の不安や恐怖が、一瞬にして安堵へと変わった。
893の後ろで輝く光に、俺は思わず目を細めた。
その光は、まるで893自身が光り輝いているかのようで、俺はうっとりしながら893を見つめた。
「・・・いっくん?」
固まっているいっくんを、893は手を小さく振りながら顔を覗き込む。すると、うっとりしていたいっくんのその目は、咄嗟の事で目を見開いて、顔は赤く染まっていた。
「何、照れてんの?」
嘲笑混じりで聞くと、いっくんの顔は更に赤くなっていた。
「て、照れてないから!」
そう言って自分の顔を腕で隠そうとするいっくんの腕を、893が掴んでいると、いっくんの口からは小さく喘ぎ声が漏れていた。
*
俺はその後の記憶が空欄になっていて、俺が いくら思い出そうとしても思い出せずにいた。
ハッとした俺は、急いで893に掴まれた方の腕を見ると、そこには薄らだが痣ができていた。
「まさかな・・・」小さな独り言を苦笑いで流す。空欄になっている夢の中の記憶で、最後に唯一覚えている事は、 893に耳元で囁かれた
「俺はいつでもここで待ってるよ。いっくん。」と言う言葉だけだった。所詮夢の中での事、また明日になったら忘れているし、別の夢を見ているだろう。俺はそう考えていた。
*
際限なく続いている暗い部屋の中、一つだけ暗闇の中で一等星のように輝くその白光の中で、背丈の高い男が今日も今日とて呟いた。
「今夜も待ってるよ。014」
fin.