「やばいっ遅刻だっ!」
「おはようございます!」
「あれ?」
「先生なんか違う。有村先生?」
「なんか違う。だってうちの先生の名前は木村先生だもん。」
「あっ葵ちゃんおはようー」
「ねぇ莉里。有村先生って誰?新しく入って来た先生?」
「何言ってるの?葵ちゃん。元々有村先生だったでしょ」
「え?だって木村先生だったじゃん」
「有村先生だったよ?」
「なんで…」
「ねぇヨツバくん!先生がおかしいの!
「何が?」
「先生の名前が違うの!」
「だって木村先生だったのに有村先生って言う居なかった名前になってて、それで。」
「葵。…..」
「どうしたの?ヨツバくん」
「いや….なんでもない」
「どうしたの?なんかヨツバくんおかしいよ」
「行こう」
「えっちょっと待って!どこに!?」
「ドア?」
「ヤダ…入りたくない」
「眩し…..」
「ここは、私の学校の入り口?」
「でもなんで、」
「あっそうだヨツバくん。ヨツバくんは!」
「居ない?」
「おはよう。冷峰さん。」
「居た!ヨツバくん。何してるの、早く元の世界に帰ろうよ!」
「え?元の世界?何のこと?」
「え?そういえばなんでヨツバくん私のこと葵じゃなくて苗字なの?」
「なにいってんの?それにいつも冷峰さんって呼んでたでしょ?」
「来て!」
「え..うん。」
「ねぇ本当の世界に帰ろうよ!」
「…..」
「なんで、、なんで戻るの?何も気にしなくて良いし永遠な幸せな時間が続くんだ」
「俺は、、僕は!葵と会えなくなるのは嫌だ…」
「なんで?なんで私とヨツバくんが会えなくなるの?」
「……..」
「何か言ってよ。お願い…」
「この世界は、この僕たちが生きている世界は、元々フィクションの世界だったんだ。」
「フィクション?」
「そう。この世界は誰かが作った世界。つまり、アニメみたいなものなんだ。」
「この作品を作った作者が意図して作った世界」
「でも、僕は知ってしまった。規律を乱した。だからもうこの世界はこれ以上作れなくなる。」
「じゃあ私も、ヨツバくんも、ミツバくんも、全部。キャラクターで、このまま世界が終われば死んじゃうの?」
「分からないけど」
「この世界から元の世界に戻る方法は知ってる。」
「知ってるの!?」
「うん。この世界のどこかにこの世界を作ったものの、大切なものががある。これを壊したらこの世界は壊れて元の世界に戻れる。」
「それでこの世界を作った子は絵を描いたり、歌を歌ったりする芸術が好きで、思い出の筆と楽譜があるんだって。」
「それを壊せば、元の世界に戻れる。」
「分かった!」
「私探してくる!」
「うん。」
「筆だったら、図工室?でもそんな分かりやすいところにある?うーん。」
「でも、そうだ!」
「職員室に行ったらあるかも!」
「失礼します。校長先生いらっしゃいますか。」
「どうしたか」
「あの、誰かの思い出の筆とか楽譜とか」
「ありますよ」
「本当ですか!?」
「は、はい。ありますよ。」
「ちょっと借りてもいいですか?」
「いいですけど。」
「ヨツバくん!あったよ!」
「あったのか。」
「ねぇ君。」
「その筆と楽譜壊しちゃうの?」
「誰!?」
「壊すけど。」
「困るな。この筆と楽譜を壊されたらこの世界を作れなくなっちゃうじゃん」
「え?貴方誰なの?もしかしてこの世界を作ったのは貴方なの?」
「なんで作ったの?こんな世界作ってもなんの意味もないんだよ?現実からも逃げられるわけじゃないんだよ?」
「…..」
「ねぇ!?」
「うるさい!お前に分かるわけない!所詮僕が作った存在で、なんで説教されなきゃ行けないんだよ、!どうせ嘘の世界を作っても救われるわけない!分かってる!相談したって自分の過去辛かったアピしかされないのに!今は幸せなくせに!」
「誰かに必要とされることも、大切な物もないから」
「いつか報われる。きっとそう。って思いながら生きて来たけど」
「報われたことも、救われたことも無いから。」
「だから!….」
「羨ましかった。大切な人がいるわけでもない。ずば抜けてすごい才能もない。能力もない。社交性もない。」
「でも、葵には、ヨツバっていう相方がいる。恋愛観があっても無くても大切な人には変わりない。」
「でも自分は価値があるかも見出せなくて!」
「こんなんだったら、生まれて来たくなんか無かった。」
「それは…それは違う!」
「所詮綺麗事かもしれないけど…もし貴方が、絵を描くのが好きなら絵を書く夢を描けば良い。歌うことが好きなら自分が好きなものを並べて夢を歌えばいい」
「葵!もうこの世界は保てない!早く出ないとこのままになる。」
「ねぇヨツバくん!」
「何?」
「私たちはあと数時間後でも、数分後に消えてもおかしくない存在。それなら3人でこのまま居なくなろうよ!」
「じゃあ葵。僕たちが消えるまで3人で居よう。そして僕たちが消えたら、2人で見守ろう。」
「わかった!」
「私とヨツバくんが消えるまで、ずっと側にいるから、僕たちが描いた未来も理想だったものも、貴方が幸せなら叶わなくても、ずぅーっとちゃんと見守ってるから。」
「うん。絶対に僕ちゃんと生きる。」
「うん。僕の願い事決めた。僕の願い事は夢を見つけること。いつか、大切な人ができても諦めないような人になりたい。」
「日に日に言いづらくなっていく事実もちゃんと言えるような人間になりたい。」
「もう怖くないって言えるように」
「いつか葵も、この世界の作者も、たくさんの人が心の底から楽しいって思えるような世の中になったらいいね…..」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!