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クリスマス、間に合わなくてすみません。賞味期限切れかもしれないですがよろしければどうぞ。
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「メリークリスマス」
そう言って渡された小さな箱にはネックレスが入っていた。特に大きな飾りの付いていないシンプルなネックレスだが、よく見ると角度によって色の変わる不思議な宝石がチェーンに幾つか散りばめられている。
「綺麗だな………。」
「でしょ?その虹色の宝石はオパールって言って、リョウガの誕生石なんだって。オパールは純潔、希望、真実の象徴とされてるんだよ。リョウガにピッタリでしょ?」
そう言ってニッコリと笑うカイは、プレゼントを渡した側なのになぜか凄く幸せそうにしている。
「俺にピッタリかどうかは分からんが……嬉しい、ありがとう。着けてみていい?」
「もちろん!俺が着けるよ、かして?」
「ん。」
カイにネックレスを渡し、首に着けてもらう。普段あまりない状況に少しドギマギしてしまった。
「はい、できたよ。」
「ありがと、似合ってる…?」
「凄く似合ってるよ。ネックレスもリョウガも可愛い」
「お前はまた恥ずかしげもなくそんなことを………流石だわ…」
突然可愛いと褒められ、顔に熱が集まるのを感じる。いつまで経っても褒められると照れてしまうのはご愛嬌ということにして頂きたい。
「これ、シンプルで可愛いな。」
「でしょ?……実はこれ、シンプルなデザインにしたのには理由があって 」
「理由?」
「この前のリョウガの誕生日にペアリングあげたじゃん。あのリング、仕事の時とか外さないといけないことも多いでしょ。だから、このネックレスにリングを通していつでも身につけられるようにと思って。」
カイから貰ったペアリング。できるだけつけていたいと思ってはいるものの、手が見える可能性がある仕事の時はどうしても外さなければならないことも多い。常に身につけていることが出来ないのは、正直少し寂しいと感じていた。
「まあ、ネックレスにしたからといって肌身離さずって訳にはいかないけど、今よりはつけてられる時間グッと増えるでしょ?」
「そうだな。外さなきゃならない時はここに付けることにするわ。………カイのはないの?」
俺がペアリングを外さなければならないという ことは、当然カイも外さないといけないわけで。
「当然!作ってあります!!」
「ふっ…おま、さすがだな。」
さっき俺が貰った小さな箱と同じものを取り出すカイはすごく自慢げで、思わず笑ってしまった。
「あれ?なんか俺のとちょっとデザイン違くね?」
カイのネックレスにはオパールではなく、青い宝石が散りばめられていた。
「そー!この青い宝石は俺の誕生石のサファイア!!」
「なるほど、サファイアね。
ん?なんか1つだけ違う色のやつがある。……もしかしてオパール?」
「お、気付いた?1つだけリョウガの誕生石も入れたのよ。リョウガのネックレスもよく見てみて?」
「あ、…1つだけ青い。てことはサファイアか。」
「正解!!!こうやって1つだけ違う宝石があるとそれが唯一無二な感じして良くない?俺たちがお互いのことを唯一無二の存在だって思ってるみたいでさ。」
こんな恥ずかしくなるようなセリフもサラッと言えてしまうのだからカイは凄い。唯一無二の存在。そう改めて言われると嬉しいけどくすぐったいような気持ちになって、同時に胸の真ん中辺りがじんわり温かくなるような感覚に襲われる。これが愛ってやつだったりするのだろうか。
「リョウガさんまた照れてる。可愛い。」
「うるせぇ!それ付けてやるから貸せ!」
「んふふ、ありがと。」
照れ隠しで少し乱暴に受け取ってしまったが、カイの首には丁寧に着けた。
「……はい、できた。」
「ありがとう。お揃い、増えたね。」
「だな。」
首元に光るお揃いのネックレスをお揃いの指輪の着いた指でなぞる。傍から見れば少しバカップルのようかもしれない。しかし、そんなことも気にならないくらい幸せな気持ちに包まれていた。
「…………大好きだよ。」
「ん?なんて?」
「いや、聞こえてないならいい」
「えーー?大好きしか聞こえなかったからもっかい言って〜」
「聞こえてんじゃねぇか!!」
「そういやサファイアってどんな意味があるんだ?………へぇ、なんかカイって感じだな。」
《サファイア》
知恵と誠実さの象徴