コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
学園長「‥‥お主たちがどういう境遇を受けたかは分かった。ここにいる間は好きにすると良い。じゃが、一つ聞きたいことがある。」
翔「何でしょうか?」
学園長は土井先生と顔を合わせた。
土井「弥刀、といったか。‥‥その、金吾‥だよな?」
土井の言葉に、ひととせの、特に椎那と沙爾の気配が変わった。
翔「‥‥‥はい。正真正銘、皆本金吾です。」
小平太「私の知っている金吾とは違いすぎるな!」
雅彦「弥刀は、襲撃の一番の被害者ですから。」
文次郎「どういう意味だ?」
沙爾「弥刀は唯一庇われて生き残ってるんです。‥‥僕達も庇われて生き残ったようなものなんですけど、ちょっと違います。体育委員会の先輩方は、弥刀を庇って死んだんです。」
沙爾は椎那の腕に抱きついている無表情の 弥刀を見る。
沙爾「僕と椹斗と椎那が来たときには、弥刀は先輩方の遺体のそばで呆然と座り込んでました。そこまでならまだ良かったんです。」
留三郎「何かあったのか?」
椎那「恐らく体育委員の皆さんを殺したのであろう忍びが、弥刀を連れ去っていったんです。泣き叫んで体育委員会の先輩方をよんでる弥刀が十歳の僕が見た最後の皆本金吾でした。」
椎那が悔しそうに顔を歪めると、翔が椎那の肩に手をおいた。
翔「僕達が弥刀を救出できたのはそれから3年後でした。その3年間、弥刀はひどい拷問を受けたのでしょう。助けに行ったとき弥刀の体はとても見れるものではなかった。」
濔羅「‥‥あれはとても酷いですまされる怪我ではありませんでした。10歳の子供にしていいものじゃなかった!暴行、毒物の服用、他にもたくさん‥‥。目の前で先輩が殺されて、壊れかけていた弥刀の心は、奴らの3年による拷問のせいで壊れてしまった。心がなくなくなってしまった。今の弥刀は何も感じてないんです。痛みも、嬉しい、悲しいなどの感情も、何も。これじゃぁ‥‥人形と一緒だ、」
濔羅の頬を、涙がつたう。
雅彦「‥‥‥弥刀は先輩を失い、感情を失いました。」
都芹「俺たちがこの世界に来た理由は2つ。1つは一年生たちからの依頼があったから。もう1つは未来を変えることで、先輩方が生きている未来を作ることで、弥刀の心が戻るんじゃないかと思ったから。だから、俺たちの邪魔はしないでくださいね。先輩。」
意味ありげに微笑んだ都芹に、誰も声を上げることはなかった。