封書が良仔のもとに届いた。裏の差し出人は「大日本美術大学 九曽田 積」とあった。赤い洒落た感じの封書で、いかにも美大らしかった。チラシが入っており、「九曽田 積 個展」となっていた。今回は大学内で個展を出すらしい。教授の上手いとは言えない文字で、「お友だちでも誘って来て下さい。」と書いてあった。良仔は仕事に満足しているとはいえ、水商売とは大声で言えない。考えたあげく、エンパイアの朱未さんを誘ってみることにした。朱未さんも専業では無いらしいが、本職は解らない。
木曜日、クラブの控え室で彼女を見つけた。運良く他に誰もいない。「アケミさん、ちょっと話したいことが」と切り出し、メールを送る事にした。
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