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退院前日



夜の病室は静まり返っていた。

窓の外には、淡い月の光と街灯の柔らかい光が混ざり込み、病室の床に長く伸びる影を落としている。


×××はベッドの端に座り、松葉杖をそばに置きながら、自分の手をぎゅっと握る。

「……明日……家に帰れるんだ……」

声にならない小さな声で呟く。

わくわくする気持ちもある——でも、胸の奥には複雑な感情が渦巻いていた。


“家って……私の家じゃないんだ……キルアの家……”

両親は事故で亡くなっていて、帰る場所はここにはない。

それでも、キルアと一緒に住めるという温かさに、心は少し救われる。


でも、ふと胸に重くのしかかる思いがある。

「……迷惑かけちゃったよね……」

入院して、みんなに心配かけて、リハビリも大変だったこと。

「……みんな……忘れちゃってたかな……」

暗い気持ちが胸を押しつぶす。


小さな肩を震わせ、×××は布団に顔を埋めて泣いた。

涙は止まらず、悔しさも、不安も、少しの寂しさも、一気に溢れ出す。


「……キルア……会いたい……」

ふと、胸の奥から込み上げる気持ちに気づく。

今は学校で会えない——

キルアに会って、抱きしめてもらいたい。

「……キルアがそばにいたら……少しだけ、安心できるのに……」


夜の静けさの中、窓の外の月を見つめながら、×××はひとり涙を流す。

悲しさだけじゃない——

明日家に帰れる喜びも、少しずつ混ざっていて、胸の中は複雑に揺れる。


でも、その涙の中には、小さな希望もあった。

“明日は……キルアの家に帰れる……”

その言葉が、少しだけ心を落ち着かせる。

まだ会えないけれど、明日には必ず会える——

そう思うだけで、胸の奥が温かくなる。


×××は小さく息を整え、涙をぬぐう。

夜の病室に、静かで切ない、でも少し温かい時間が流れていった。

朝の学校。

教室の窓から差し込む光は眩しいのに、キルアの胸には小さな違和感があった。


「……なんか、×××……元気なさそうだったな」

授業中も、ふとした瞬間に思い出すのは、退院前の×××の顔。

昨日の夜のことは知らないはずなのに、なんとなく空気が重い——そんな気がした。


部活の準備をしていたが、胸の中の不安がどうしても消えない。

「……今日は行けない……×××のところに行かないと」

そう心の中で決め、キルアは静かに部活の顧問に断りを入れる。


校門を出る足取りは自然に早くなる。

「……大丈夫かな……泣いてたりしないか……」

胸がざわつく。

いつもは冷静で強いキルアでも、幼馴染であり、家族のように暮らす×××のこととなると、心配が押し寄せる。


病院に着くと、受付の看護師が微笑む。

「おはようございます、キルアくん。×××さんはまだベッドで休んでますよ」


キルアは深く息を吐き、静かに病室の前まで歩く。

扉の前で立ち止まり、少しだけ胸を押さえる。

「……今日、泣いてたら……俺が慰めてやる」


ドアを開ける手をそっと握り、心の中で小さく決意する。

幼馴染で、家族で、そして大事な人——

×××を一人にさせるわけにはいかない。


キルアの胸には、強い覚悟と温かい気持ちが渦巻いていた。

静かな病室。

×××はベッドに座り、窓の外の月を見つめていた。

まだ体は少し疲れていて、松葉杖はそばに置いたまま。


「……明日、家に帰れるのに……なんでこんなに不安なんだろう……」

小さく呟き、胸に手を当てる。

心の奥に、複雑な感情が押し寄せる。

嬉しい気持ちもある。けれど、両親がいないことの寂しさ、事故で迷惑をかけた罪悪感……。


そのとき、病室のドアが静かに開く。


「×××……」

聞き慣れた声に、×××は思わず肩を震わせる。

「……キルア……」


キルアが歩み寄り、ベッドのそばにしゃがむ。

「今日は、学校終わるの早くして来た……×××の顔、なんとなく暗かったから」

真剣な眼差しで見つめられ、胸の奥の不安が一気に溢れ出す。


×××は我慢できず、小さく泣き声を上げた。

「……うっ……ごめん……」

涙は止まらず、頬を伝って流れる。


キルアはすぐに手を差し伸べ、そっと×××の手を握る。

「泣いていい……我慢しなくていいんだ……全部俺が受け止める」

優しく微笑みながら、額を×××の頭に寄せる。


×××は小さくうなずき、泣きながらもキルアに顔を埋める。

「……キルア……会いたかった……」


「俺もだ……お前が一人で泣いてるの見たくなかった……」

キルアは抱きしめる腕を強め、×××をぎゅっと包み込む。


夜の病室に、二人だけの静かな時間が流れる。

泣きじゃくる×××を、キルアはそっと撫で、温かさと安心を伝える。


「もう大丈夫だ……明日には家に帰れる……俺がそばにいるから」

×××は小さく息を整え、涙をぬぐいながらも、ほんの少し笑みを浮かべた。

「……うん……キルア……ありがとう……」


その夜、×××の涙はキルアに抱きしめられ、少しずつ溶けていった。

嬉しさと不安、寂しさと安心——

全てが混ざり合った、二人だけの温かい夜だった。

to be continued…

×××とキルア少し重めなお話

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