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AK@アキ
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#ミステリーかもしれない
ねぎとろ
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#何かがおかしい
夢喰【文月村】
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真っ黒なインクに溺れるように、娘の自我がゆっくりと瓦解していく。私は拍手を止め、床に力なく崩れ落ちたリリスの前に静かに膝をついた。
「よく頑張ったわね、リリス」
意識を失った娘の左頬に触れる。
昼下がりに私が放った平手打ちの痕が、痛々しく赤く腫れていた。かわいそうに。こんなに乱暴な修正は、本当ならしたくはなかった。けれど、無断外出をして外のノイズを浴びてしまったこの子を正すには、肉体に強い衝撃を与えるのが一番確実なのだ。
私はリリスの細い身体を優しく抱き上げ、ベッドへと横たえた。
乱れたベージュ色の長い髪を、指先で一本一本、愛おしさを込めて整えていく。
この髪は、本当に美しい。かつてあの男が、私を裏切って外の女に走ろうとした時、その女から引き抜いた髪と全く同じ色。あの男の思考を奪って北棟に縛り付け、その身体にこのベージュ色の髪を縫い合わせて私の傀儡にしてから、もう何年が経ったかしら。
私はリリスの胸元から、くしゃくしゃになった紙切れを抜き取った。
私の黒いインクが浮かび上がった、かつての私の執筆ログ。
今回は少し、悪戯が過ぎたかもしれない。
リリスが絶望しないよう、わざわざ彼女の記憶の底から「ヴェル」という都合の良い美少年のレプリカを編み上げて図書館に配置し、指輪を青く染めて「脱出の希望」という餌まで与えてあげたのだ。
希望が大きければ大きいほど、それが破滅した時の衝撃は大きい。案の定、リリスの精神は恐怖で完全に焼き切れ、綺麗な白紙に戻ってくれた。
「完璧よ、私のリリス」
私は引きつった笑みを抑えきれず、娘の額に静かに唇を寄せた。
あなたは私のお人形。外の薄汚い世界なんて、知る必要はない。この完璧に調律された邸の中で、私に愛されながら、ただお行儀よく息をしていればいい。
私は部屋を出て、北棟の執務室へと向かった。
古時計の裏にある音声ログのネジを巻き直し、机の向こうで虚ろな目をしているあの男の薬指に、再び銀の指輪をはめ直す。
そして、書斎の机に向かい、真新しい白いページを開いた。
万年筆の先から、べっとりとした黒いインクが滴る。
【一月十四日。八回目の休日を開始。バグの初期化に成功】
書き終えると同時に、夜の帳が静かに下り、世界が不自然な速度で巻き戻り始める。
翌朝、眩しい光が部屋に差し込む。
小鳥のさえずりが遠くから聞こえ、ベッドの上で、左頬の傷が綺麗に消えたリリスがゆっくりと目を開ける。
私は部屋の扉の向こうで、いつもと同じ凛とした声を響かせた。
「リリス。朝食の準備ができていますよ」
さあ、私の可愛いお人形。
今日もまた、完璧で楽しい休日を始めましょう。
コメント
3件
なんかラプンツェルを感じましたわ(わぁ同じこと思ってる人他にもいたわよかった)
お母様のそれに愛は…いやあるのかな…ほな愛かあ… 言ってみればその、お父様の浮気相手の女から引き継いだ髪だけどそれは憎くならないの?まあそんだけ美しい髪だったのかな…分かんないけど 外の世界から隔てて育てるというのはなんとなくラプンツェルを彷彿とさせるけどこっちは利用するためとか目的があって育ててる訳ではないからそこは救い…いや救いではないけどまだマシというか、どうなんだろう
うわ、これ第8話で一気に闇が深まったな…!母親の「愛」が完全に支配とコントロールでできててぞっとしたわ。希望与えてから叩き落とす手法、リリスの精神を白紙に戻すための「ヴェル」君のレプリカ配置とか、計算し尽くされた狂気が怖いんだけど美しくもある。インクと執筆ログのメタファーが効いてて、この世界の仕組みがちょっと見えた気がする。続きが気になりすぎる!