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初日の授業が無事終わると、
渡辺「康二、そろそろ寮の案内に行くぞ。」
と声をかけられた。 阿部、宮舘も「よしっ行くよ」と立ち上がる。
向井「えっ、ほんまにみんな来てくれるんや!」
阿部「当たり前じゃん!何かと不慣れなこともあるだろうから、寮のことは俺たちに聞いてね。」
と優しい笑顔を向けて廊下を進んでいく。嬉しさのあまり、「阿部ちゃーん!」とハグする康二。「お前らあんまイチャイチャしてんじゃねーよ(笑)」と呆れた声で言ってくる渡辺の後ろを宮舘が歩く。
校舎を出て、東側に向かって歩いていく。相変わらず広大な敷地に驚きながら足を進める。少し歩くと、校舎とはまた違う、歴史を感じさせる重厚な建物が見えてきた。
寮の入り口は木製の大きな扉で、そこを開けると、広々としたエントランスが広がっていた。そこにはいくつか使い込まれたソファが置いてあり、奥には大きなテレビがある。
向井「うわあ、でっかいなあ…」
阿部「ここはリビングだよ。みんなで寛いだり、テレビを見たりするとこ。基本的に、自室以外で過ごす時はここが多いかな。」
渡辺「3年と2年の部屋は3階で、1年の部屋は2階な。1階はリビングと食堂、あと大浴場と洗濯室もある。一応、風呂場と洗濯機は各階にあるけど、混んでる時はこっちを使うといいよ。」
向井「こういうの憧れやったんよなあ!」
向井はキラキラした顔をしながら呟いた。
宮舘「じゃあ次は康二の部屋に案内しよう。3階だからエレベーター使うよ。もちろん階段もあるけどね。」
宮舘はクスッと笑うと開いたエレベーターのドアを手で抑え、どうぞ。と手で合図した。
向井「舘さん…スマート過ぎん!?執事かなんか!?」
宮舘「なんなりと。ご主人様。」
今度は意地悪な笑顔でそう述べた。すると渡辺がそのやりとりを見て笑う。
渡辺「おい涼太、お前調子乗んなよ(笑)」
宮舘「スイッチ入っちゃった(笑)」
なんて笑いながら康二の部屋の前に辿り着いた。
阿部「あ、荷物届いてるね。中に運ぼ。」
4人で積み上がったダンボールを部屋に運んだ。
向井「ここが俺の部屋…」
目を輝かせて辺りを見回す。白塗りの壁で歴史のある建物、とは思い難いくらい綺麗な部屋だ。
一通り運び終わり、廊下に出て雑談していると、 下の方から賑やかな声が聞こえてきた。
「あー、腹減ったー!今日の晩飯なんだろなー!」
「佐久間、うるさい!」
その声に、康二は「誰やろ?」と首を傾げた。
阿部「ああ、多分、ふっさかんと佐久間先輩かな。」
康二は声のする方へと顔を向けた。廊下はは吹き抜けになっていて、下の階のリビングがよく見える。そこには今朝、校門前で会った佐久間くんと、少し気怠げな表情の男がいた。2人はふと康二たちの階を見上げた。
佐久間は、康二と目が合うと、すぐにふにゃっと笑って、大きく手を振った。
佐久間「あー!康二だ!やっほー!」
康二は少し照れながらも、佐久間に手を振り返した。その様子を見ていた阿部、渡辺、宮舘は、驚いたように顔を見合わせた。
渡辺「え、康二…佐久間くんのこと知ってんの?」
宮舘「まさかの知り合い?」
阿部「康二、佐久間先輩とどこで会ったの?」
康二は慌てて説明した。
向井「えっと、学校の校門前で、道に迷ってたら佐久間くんが声かけてくれて…」
阿部は納得したように頷き、小さく笑った。
阿部「なるほど、そういうことね。」
向井「でも、佐久間くんって…年上だったんや…」
渡辺「可愛い顔してるもんな。俺も最初会った時、年下かと思ったわ。」