テラーノベル
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佐野いちご
95
💖side
みんなでゲームに夢中になるとあっという間に夜が更けてしまい、それぞれ寝る支度を始める。
今日1日楽しかったな〜なんて余韻に浸りながらセイトの方をチラりと見るとまだゲームが繋がれたテレビを眺めている。
楽しすぎてまだ寝たくないんやななんて呑気に考え、そっとしておきたくて寝室へ向かう。
セイちゃん後で来るかな〜なんて思いながら布団にくるまる。みんな疲れていたみたいで少しするとすぐに寝息が聞こえ始めた。
目を閉じて、今日1日を振り返る。念願の夏休みで、海で思いっきり遊んで、ランちゃんたちとも会えてお泊まりまでできて、めっちゃ幸せやな〜と思う!
そう、思わなきゃいけないのに、、。
どの場面を切り取ってもセイトの視線がずっとカイリュウに向けられていた事実に胸が痛くなる。
愛おしそうに、優しい瞳でカイリュウを見つめるセイトばかりが頭に浮かぶ。
そういえばカイリュウ、セイちゃんの隣で寝てもうてたけど大丈夫かな、、。なんてカイリュウを心配するフリをする。本当は2人きりにさせたくなくて、様子を見るべく起き上がり再びリビングへ戻ったーー。
「、、、なにしてるん?セイちゃん、、。」
リビングに戻ると2人の姿が目に入る。そして寝ているカイリュウの唇とセイトの唇が触れ合っていたーー。
混乱とショックと色んな感情が湧き上がって涙が出そうになる。胸が苦しくて思わず家を飛び出した。
ポツンポツンと規則正しく光る街頭を頼りに無我夢中で走る。息も絶え絶えになったところで一息つきたくて近くのベンチにフラフラと腰掛ける。
静かな波の音を聞きながら真っ暗な海をボーッと眺めた。
ーーー分かってた。カイリュウを一目見た時からセイちゃんが恋に落ちていたことも。
でも、気がつかないフリをしていた。
それは、セイちゃんの口から好きだという言葉を聞いていなかったから。
ナオって優しく呼びかけてくれたから。
なのに、なのに、、、。嫌でもさっきの光景がフラッシュバックする。
「もう、、認めなきゃダメやな、、」
セイちゃんはカイリュウが好き。その事実をハッキリと突きつけられた。
「、、、ふっ、ううっ、、うっ、、」
分かっていたはずなのに涙が止まらない。そしてその分、自分もどれだけセイトのことを想っているのか改めて分かってしまう。
やりたいことには全力を注ぎ込むところ、たまにアホなこと言うところ。優しく名前を呼んでくれる声。ーーー全部全部好き。
苦しいはずなのにセイトへの好きが溢れて涙と一緒に止まらない。
どれだけ時間が経ったのか分からないままひとしきり涙を流すと少しずつ気持ちが落ち着く。そろそろ戻らなあかんなと思い立ちあがろうとすると後ろから声が聞こえた。
「、、、落ち着いた?」
そこにはエイキが立っていた。
「な、なんでおるん?」
「リビングに行ってすぐ飛び出てったから心配で追いかけてきた。」
落ち着いた様子でそう話すエイキの頬には汗がつたっていた。
「別にっ、なんもないよ?ただちょっと風あたりたかっただけやねん。心配かけて、、ごめっ、、んっ、、」
平気なフリをして話そうとしてもやっぱり涙が出そうになって声が震える。
ーー追いかけてきて欲しかった。その言葉をかけて欲しかった。でもその相手はセイトであって欲しかった自分。エイキじゃない。
ーーー色んな思いが頭を巡ってなんと話せばいいのかわからなくなっているといきなりエイキに抱き寄せられる。
「、、、全部、分かってるから。だから泣いていいし、今だけ利用していいよナオちゃん。」
抱きしめて、優しく頭を撫でながらそう話すエイキ。
その言葉に甘えてエイキを強く抱きしめ返し、再び涙を流したーー。
コメント
1件
ああもう、第15話、胸がぎゅっとなりました……。ナオちゃんが気づかないフリをしてたってところ、痛いほど伝わってきた。セイトの優しい呼び方や、好きなところをひとつひとつ思い返すシーン、涙が止まらなくなる気持ちがすごく分かるよ。最後にエイキが追いかけてきてくれて、「今だけ利用していいよ」って言葉、あれは沁みたなあ…。感情が丁寧に描かれていて、読んでて切なくて温かかったです。続きも気になります!