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───────── 小さい頃から甘いものが好きやった。
特に、母さんの作る”ケーキ”が一番好きで程よい甘さでいくらでも食べれそうやったのを覚えとる。
店を出せば売れるって何度母さんに言ったか覚えとらん。
将来は絶対パティシエになるって決めとった。母さんのケーキをいっぱいの人に食べてもらう。そんな夢やった。
──────────そんな俺も18になった。
進路選択で先生と話す機会が何回もあった。高校では中々いい成績をとっていたから、先生は幾つもの大学の資料をくれて、面談の時もその大学のいい事何個も何個も話してくれはった。
それで、先生は俺にこう聞いた。
『結局どこ行くか決まったか?』
先生は此処か?それとも…と紹介してくれた大学の名前を何個もあげた。
やけど、俺は。
「俺!パティシエなりたいんです!!やから、その…専門学校!行きたい思うてて!!」
そう言った。小さい頃からの夢なんや、ずっと。そんな思いを抱いて先生に言ったものの、先生は惚け顔した後にこう言った。
『…ッは。お前もおもろい冗談言うわ~。ふざけとらんでさっさと決め』
俺は先生の話を聞いて、食い気味に先生に
「ちゃッ…ちゃいますって!!ほんまに!俺…パティシエなりたいんです!!!」
『はいはい…わかったて』
先生はその一言で話を終わらせて、次の面談までに決めておけと言った。
俺はモヤモヤとしたまま家に帰った。
家に帰れば、母さんは晩御飯の支度をしとった。父さんは先に椅子に座って、飯の出てくるのを待っとった。俺はその父さんの目の前の席に座った。
支度が終わり、家族で飯を食っとると父さんがいきなり
『そろそろ進路は決まったか?お前は頭だけは良いんやから、いい大学行けよ』
そう言われた。
俺は勇気を振り絞って、父さんにも先生に言ったことと同じ事を話した。
きっと父さんなら。
そんな事は無かった。父さんはそれを聞くなり怒鳴り俺の頬を殴った。そのあとも怒鳴っていたようやけど、俺は覚えとらん。母さんはすぐに父さんを止めに入ってくれた。
俺は、父さんにも応援して貰えんって分かって心が苦しかった。
俺は逃げるように部屋に戻って鍵を閉めた。
1時間ぐらいしてからやろか、母さんが部屋の前に来た。母さんにも怒られるんやろか、なんて考えとったら母さんは
『あんたの行きたいとこ行けばええよ…父さんはああ言うとるけど…母さんは応援しとるから』
その一言で俺は救われた気がした。
結局俺は父さんにも先生にも反対されながらもパティシエになるために専門学校の試験を受け見事に受かった。
専門学校に受かると父さんは俺を家から追い出した。
『こんな無能な息子は要らん』
やってさ。
俺は春から一人暮らしを始めた。分からないことも沢山だが、母さんに聞いたり、友達に聞いたりして何とか生活出来ていた。
──────────そして!!ついに俺も専門学校に通い始めた!!
どんな事勉強出来るんやろ!友達出来るやろか…ケーキ!どんな風に作ろか!
沢山の希望と不安を胸に始まった生活は
甘くはなかった。
専門用語が思ったよりも覚えるのが難しかった。それにスイーツを作るのだって簡単なものでは無かった。
やけど、俺は一生懸命取り組んだ。
なんとか、ケーキって分かるぐらいまでには作れるようになった。
俺は更に腕を上げるために練習した。
──────────2年後。
ようやく!!母さんのケーキができた!!
俺は早速同い年の友達にそのケーキを食べさせた。
美味しいって言って貰えるや……
『まっず。』
え?
俺の考えに被さるようにそう聞こえた声に俺は唖然とした。
そんなはずないやん。俺の母さんの作ったケーキまんま…
俺はその後何人にも食べて貰った。
友達。専門学校の先生。従業員の人。
『不味…なにこれ』
『…何か入れる材料間違ってない?』
『…これは、その…独特な味…だね』
それだけ。
褒めてくれ人なんておらんかった。
んなはずないやん、母さんに全部聞いて、それで、ようやくできたんに
俺はもしかしたら、地域の味の違いかもと思った。
やから、俺は母さんに連絡して直々に食べて貰うことにした。
その週の日曜に母さんに会いに行った。
実は誰が作ったか言ってないんや。
ただ食べて欲しいもんあるって言っただけ。
ほら。
母さんが作ってくれたケーキやよ。
母さん。早くたべて
たべて、たべてたべて
【美味しい】って言うて
母さんは食べて何度か咀嚼をして、目を丸めた。俺は直ぐにこれは美味しい時の反応!!って分かって母さんに近寄った。
すると、母さんは俺を振り払うようにゴミ箱に行って
“口の中のケーキを吐き出した”
「かあ、…さん?…どしたん……具合でも」
きっと、そうや、具合悪いんや。
母さんは口元を拭い顔を上げて
『……これ……誰が作ったん?……』
【美味しくない】
母さんはそう言った。
なんで、母さんまでそんなこと言うん。おれが、母さんから聞いたレシピど、うり、に作ったやんなんで、なんでなん。何がダメなんどこがダメやったん。 美味しいやろ?俺のケーキ、な?美味しいやろ?美味しいって、ほら美味しい美味しいって言うてやな、あ。不味くなんてないやろ、絶品やろ、
美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい
美味しいやん、な?
それから、何回ケーキ作っても。
何回、同じ作り方で作っても。
全部
真っ黒なケーキになってしまうんや。
きっと、これは 菫コ縺ョ██繝シ繧ュ繧定ェー繧溘∋◼
…
──────────甘い甘いケーキ。
それは皆を幸せにするもん。やから、俺はずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
【母さんのケーキ】を作るんや。