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【Teaparty】

2 - 【キャンディ】

2026年02月04日

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口の中でころころ転がる”それ”は

撫で回せば甘く溶けていき

犬のように噛み付けば脆く崩れてしまう。

私は”それ”が好きだった。




──────────小さい頃何か騒げば母はいつも口にキャンディを1つ突っ込んだ。

段々と口に広がる甘さは自然に私の機嫌を治してくれた。


何時も私はビスクドールを抱いて、そこら辺を散歩していた。

ビスクドールは薄ピンクのような色合いをしたロングヘアに赤い目をしていた。

服には沢山のフリルがあしらわれていた。

少し前に古い中古店のような場所に行き見つけた。状態が良かった為母にねだって買ってもらった。

私はそれに【キャンディ】と名付けた。

私の大好きなキャンディ、だから私の大切なものにも同じ名前をつけた。


この子がいれば、私はひとりじゃない。

ずっとずっと。



高校生になる頃には、キャンディはボロボロになっていた。それでも私はずっとそれを大事に大事に持っていた。

昔からの友達だから、離れたくないから。


母は私が中学2年生の頃に父と離婚した。

理由は、父の浮気。

相手の女の人は、ビスクドールのように綺麗な人だった。

それから、母は段々とおかしくなってしまった。

毎日のように男をとっかえひっかえして、部屋に篭もった。

時々聞こえる甘い声。

母はドロドロと溶けていった。

そんな母を見たくなかった。

「もう~…おしゃべりさんね。ほら、あーん」

口に甘い甘いキャンディを入れてくれる母はもう居ない。


家に居たくなくて、私はいつも学校にいた。

ひっそりと誰も来ないような場所で時間を潰していた。

そんな所へある日1人男子生徒がやってきた。

「何してるの?」

微笑みかけられた。

男性経験がない私にとっては、その”笑顔”で恋におちてしまうことなんて簡単だった。


誰も来ない場所で2人で話をした。

誰も来ない場所で2人でハグをした。

誰も来ない場所で2人でキスをした。

キャンディの入ったままのキスはいつもより何倍も甘さが増した気もした。


「~…していい?」

「うんいいよ。」

「~…貸して?」

「うんいいよ」


「ヤろ?」

「うん…いいよ」


何でもあなたに委ねてしまった。

でも、あなたのナカで溶ける自分が大好きだった。


もっととかしてほしくて、どろどろにしてほしくてたまらなくて。

あなたに。あなただけに。


…「飽きたから、別れるわ」


…え?


そう告げたあなた。

あなたは、他のキャンディも味見したいらしい

1つだけじゃ飽きちゃうらしい


「…うん、…」


それから、私は色んな男と溶け合った。

でも、どの男も溶けさせておいては途中で飽きて捨ててしまう。



いつか、私は自分のことを最後まで舐めて飲み込んでくれる人を見つけたい。


でも、簡単に溶けきってしまってもつまらない。

ゆっくりじっくり味わって。


だから、その日まで硬いキャンディになるの。

簡単に噛み砕かれないそんな女に。





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