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第壱章『神羅』
僕が、いや僕らが神になった『あの日』僕らの運命は変わったんだ。
暗闇の中、髪の長い白髪の男性が映る。統一されたかのような白の和服に背中まで届く髪。瞳は黒く光も何も反射しておらず虚ろであった。男は独り言かのように呪文らしきものを言い放つ。
「神の源よ。聖なる力よ。この若き人間に源力を宿らせ国に住まわす民を救たまえ。」
呪文を唱える白髪の男性は宙に浮いており目の前には少年がいて見下す感じで白髪の男性は少年のことを見ていた。2人の容姿はとても似ていてきっと親子なのであろう。
少年は深く深呼吸をすると迫り来る異変を感じ取る。
「がぁぁぁぁぁ、う、うがぁ、がぁぁぁ!」少年は雄叫びをあげる。
それを上で見ている約20名程の人間らしき者が見ていた。影と瞳しか見えないが目の形や瞳の色で大体の表情は察することが出来る。
「なぁなぁあれやばくね?」と誰かが口を開く。
「大丈夫っしょ。下には不死死人(ふししびと)さん、上には赤崎零人(あかさきれいと)さんと赤崎輪廻(あかさきりんね)さんがいるんだから。」
白髪の男性の名前は不死死人。センター分けの赤髪で右目に大きな傷跡がある男の名は赤崎零人。彼の浴衣は水色であった。少年を見下すように見ている人物、彼こそ赤崎輪廻。赤色の浴衣を着ており彼も赤髪のセンター分けであったが額には一つ、頬には二つの目が付いていた。両目の涙袋から顎の輪郭まで伸びる痣は『冷酷』という言葉を醸し出していた。
「がぁぁぁぁぁ!!」少年は目を開くと瞳は黄色、眼球結膜は黒色に変わっていた。右目は鱗を帯びており額には角が生えていた。収まったことがわかるとため息と共に口から炎を吐き出す。すると驚いた感じで死人が言葉を放つ。
「その目、その鱗。我が息子の不死罪夢(ふしざいむ)は炎龍神だ。」死人が言い放つと周囲はざわめき始める。
「おいおいまじかよ。」
「龍の神なんだって。」
「しかも炎龍だぜ?」
赤崎輪廻は新たな少年の姿を凝視する。
「炎龍の神。」輪廻の目は赤色で瞳から八本の線が引かれていた。
謎の少年、不死罪夢はざわめきに耐えられなく物申す。
「おい!!神が生まれたんだぞ!!めでたいことじゃねぇかよ!!」
「教えてやる。龍神の恐怖を。昔、日本国の東の村一夜にして焼き野原に変えた神、いや化け物がいた。これが炎龍神の恐怖だ。」
「で?こっからどうするんだよ。」
上の観客席から覗いていた赤崎零人が宙を浮きながら下がってきた。それに答えるかのように不死死人は口を開く。
「どうしたものかな。そうだな、実戦と行こう。今ここにいる約20名の神の中から1名の神と戦ってもらう。いるか?血の気の多い神は。」不死死人の目は刺すかのように瞳孔を開いていた。
「我が行こう。運と実力の運試しだ。」
不死死人は上から宙を浮き下がってくる輪廻の姿を見て嫌悪感の顔を見せた。
「う・・・・・・嫌だ。」
「なんでじゃ!!なぜ我とは戦われぬ!!」
「だってお前、強すぎて俺の子を簡単に殺すから。」
「たしかにな。」
「無理無理。」
輪廻は挑戦権を破棄された。だが同時に輪廻は死人の狙いが分かった。
「僕が言っていいっすか!!いいっすよね!」
紙のお面をつけ水髪で水色の浴衣を着た人物が前に出てきた。
「う~ん。いいよ!」
「やったァァ~!」
「はぁぁ!?何故じゃ!!何でこいつが良くてワシがダメなのじゃ!!」
「お前より秋水流(あきみずながる)の僕が力加減分かってるもん。」
(チッ、ド正論野郎が。)
「皆の者よろしいか!これより実戦へと入る。神域(じんいき)の展開も可とする。ここより構え。」
秋水流は指鉄砲の構えをしたが一方罪夢は咄嗟のことで何も出来ない。
「ちょっ!」
「始め!!」
死人の合図で流は先手を取る。
「水ノ極 水銃(みずのごく すいがん)」流の人差し指は銃口へと変化し凄まじい勢いで罪夢の顔へと向かう。それは正しく銃弾のように罪夢の頬を掠りそこが血が少し流れる。
「外した~!」
(は?こいつら、俺を殺すつもりだ。俺は、俺は死ねない!!まだ夢を叶えてねぇんだよ!!」
罪夢の手のひらに炎を纏い流の方へと勢いよく向かう。
「うぉぉぉぉりゃぁ!!炎龍ノ極 龍ノ戯レ(えんりゅうのごく りゅうのたわむれ)!!」
「待っ」流は一瞬で神域(じんいき)を展開した。
罪夢の手は流の顔面をビンタするかのように振りかざしたが流の様態は水へと一瞬で変化し罪夢の手は流の顔をすり抜けそれを見て罪夢は驚きを隠せなかった。罪夢が放ったすり抜けた攻撃の炎は左の崖へとぶつかり大爆発を起こした。
それを遠目で見ていた青色の髪の人はそれを見て目を丸くした。
「オッホホホ~!スッゲェ破壊力!」
「そりゃぁそうだろうよ。あの龍神でそして…」と答えるように話したが説明はまだ途中の時。
「辞め」死人は戦を止めた。それに気づいた罪夢は息を荒らげながら父の方へ顔を向けた。
「お前はどんな神になりたい。」死人は腰を上げながら罪夢に質問をする。
「俺は!!みんなを救ける神様になりたい!!」罪夢は大声で質問に応答した。
「それは嘘か。誠か。」
「誠だ。」
「そうか。」死人はその答えを聞くと一粒の水滴が頬を伝う。それは汗か涙かそれはまだ私たちが見ることが出来ない。
「辞めだ。」
((死刑宣告は取りやめにする。))
「お前ら!!俺をマジで殺そうとしてたな!」 罪夢は脳内で伝達された情報を聞いた。罪夢が炎龍神になったあの時から死刑宣告が出ていたようだ。
「そりゃぁそうだ。『龍神』自体は禁止された力なのだから。」
そこに現れた人影は秋水流本人だった。水に溶けただけで死んではいないそうだが紙のお面は破けて左目が見えているようだった。
「でも受け継いだのがこの子でよかったっすよ。この子は力の在り方をよく知ってるっすよ。だから俺は!不死罪夢を私の管理下に置く!それでいいだろう!この子がこの国を救い出す時が来るんだから!!この子は龍神ではない!!ただの!!」流は罪夢を弁護するように庇う。死なせないように包むように。
「あぁ。不死罪夢。お前は我が子であり我の。いや、この国の光だ。」罪夢は父からの言葉を聞いて涙をこぼした。
「お前は強い。流石我が子だ。皆の者新しい神に感謝しここより新たな時代を切り開くぞ。それではこれより解散!」
死人の終了の合図に辺りはざわめきを隠せない。
「はぁ、やっと帰れるぜ。」
「やっぱし戦いたかったっすか?」帰る途中の輪廻に流は葉っぱをかける。
「いや、暇だっただけさそれに戦なんてやりたくないさ。まだな。」輪廻の目はこれからの時代を楽しみにしているかのように見開いていた。一体何が待っているだろうか。
「罪夢。お前だけは残ってくれ。お前にはまだ話がある。」死人は罪夢を呼び止めた。それは説教か。それともこれからの話か。こればかしは誰も分かりはしない。
罪夢のいやここに生きる全ての人間の運命はこの日から全ては変わったんだ。
第一章『神羅』終わり