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「セツナ、分かる範囲で他国との境目の線を引いてきたよ。
なるべくクレヴェンの内側にしてあるから」
「ありがとな、ライ。
境目からはみ出ないように作るぞ」
ここでも気遣いができていて、しっかりと他国に配慮しているようだ。
セツナは枝を拾ってから、何かの目印を描く。
それを見たレトは首を傾げた。
「何を作って僕を試すんだい?」
「クレヴェンとグリーンホライズンの平和を示す場所だよ。
湖の近くに会談や交易ができる建物を作りたいんだ。
ここから敵国が攻めてきてもお互い協力できるだろ?」
「なるほど。つまり、グリーンホライズン側でも同じような建物を作ればいいってことかな」
「そういうことだ。
次はレト王子が自国の王に交渉する番だ。
できなかったら昨日した長い話を白紙に戻す」
レトの方を持っていた枝で差してきっぱりと言うセツナ。
人々に恐れられているこの湖から平和に向けて変えていく。
お互いの国の力を使って……――
選んだ場所が困難なところだ。
恐らく、これがレトに試したかったことなんだろう。
「責任重大だ。僕もいいところを見せなくちゃね。
ライさん、書く物とクレヴェン側の意見をまとめた紙をもう一枚作ってくれないかな?
それを添えて、セツナ王子と話した事を手紙を書いてグリーンホライズンの王に知らせたいんだ」
「話が早くて助かる」
「戦争が再び始まるまで時間がないから急がないといけない。
書き終えたら馬に届けてもらうよ」
「大きな一歩だね、レト」
「かけらがクレヴェンに行く道を選んだおかげだよ」
嬉しそうに笑ったレトを見て、ふたりで旅に出た日を思い出す。
世界の平和を築くためには、どうすればいいのか答えが見つからなかった。
この世界のことを何も知らなくて不安だったけど、前に進んで二つの国が手を取り合いそうなところまで来れた。
国は全部で四つだから残りは半分。
まだ行ったことがない二つの国の王子と話して、平和に向けて動き出せれば、戦いを止めることができるかもしれない……。
再び戦争が始まるまであまり時間は残されていないけど、私はできる事をしていきたい。
未来がどうなるのか分からないけど、レトとセツナがいれば大丈夫な気がした。
レトが書いた手紙の結果が来たのは三週間後。
クレヴェンの方では建築の計画が進み、もうすぐ着工する段階になっていた。
手紙の返事はその経過を後押しするものだった。
交易を開始すると共にグリーンホライズンとクレヴェンの和平を結ぶ。
まだ先のことだけど、レトの意見が通って上手くいったようだ。
「おい、レト。
王子なんだからボロボロの服を着てないで、いい生地を使った物を着ろよ。
ほら、オレが作った服をくれてやる」
「僕にも服をくれるなんて……。
セツナは本当に親切な人だね。
お礼に特製のジャガ煮を作るよ」
「それはこの前食ったから遠慮しておく」
国の未来を背負う二人はいつの間にか友達のように仲良くなっていた。
いい事なんだろうけど、ライさんは少し嫉妬しているみたいで相変わらずセツナと口喧嘩している。
まるで女友達と仲良くしている彼氏に嫉妬する彼女みたいだ。
その様子を微笑ましく見ているだけでも楽しく思えた。
早朝から紅の地に行って土地開発を手伝い、暗くなる前に帰る生活。
会社で働いていた時よりも自分に合っているのか、毎日が楽しく思えてやりがいを感じていた。
ここで過ごす時間が増えていくと共に、元の世界にいた頃の記憶が薄れていく。
生活をするには少し不便だけど、私はこの世界が好きになってきた。
離れたくないと思えるくらいに……――
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