(昼休み)千夏「うーめーさ〜ん」
梅「はいはい、今行くよ」
(二人で保健室に向かいながら)
千夏「ねぇねぇ、委員会決めやった?」
梅「あぁ、うん、僕は委員会は嫌だったから日課係になったけど…」
千夏「いいな〜。ボクは学級委員押し付けられちゃった」(保健室のドアを開ける)
奏「あれ!?先輩方どうかしたんですか?」
梅「奏ちゃん!?調子悪いの?」
奏「あぁ、私は保体委員になったので先に保健室見とこうと思って」
梅「なるほどね。」
奏「それで先輩方体調悪いんですか?」
千夏「いや、そんなことないよ」
奏「…………(少し気まづそうな顔をする)」
梅「?。どうかした?」
奏「えっと……」
梅「?」
奏「あの…春乃宮先輩って男なんですか?」
千夏「………………」
梅「え……っとその……」
千夏「そうだよ。びっくりした?」
奏「え、あホントなんだ……」
千夏「ごめんねびっくりさせて」
奏「あのっ!でも気持ち悪いとかは全然!むしろ凄いです!」
千夏「す、凄い?」
奏「はい!だって男の子なのに女の子の格好して女の子より似合ってるなんて」
千夏「そう言って貰えると嬉しいなぁ(にへらと笑う)」
梅「奏ちゃん、それ、誰に聞いたの?」
奏「えっと、一年生の間で少し噂になってて…多分流したのは2年生の人かと…」
千夏「まぁ、誰が流したかなんて想像できるけどねぇ…」
梅「腹立たないの?やり返そうとか思わないの?」(少し苛立った表情で)
千夏「このぐらいじゃ腹は立たないしやり返そうとも思わないかな…」
梅「このぐらいって……!」
千夏「梅、いじめで首締められたことある?」
梅「……は?」
千夏「イジメに耐えられなくなって思わず川に飛び込んだことは?」
梅「な、何言って…」
千夏「ないでしょ?このぐらいならボクはなんとも思わないよ」
梅「このぐらいって…、おかしいでしょ。それは普通じゃない」(震える声で)
千夏「普通だよ、少なくともボクの中では」
梅「違うっ!そんなのダメだ!そんなのが普通になっていいわけが…」
千夏「うるさい。」
梅「え…?(困惑した表情)」
千夏「梅にはわかんないよ(目を逸らし俯く)」
梅「それはお前が何も言わないからだろうが(怒りに震える声で)」
千夏「梅、なんで怒ってるの?」
梅「っ!ざけんなっ!(千夏の頬を殴る)友達がそんななってるのに怒らない奴がいるか!」
千夏「ボクも……(ボソッとつぶやく)」
梅「なんか言えよ」
千夏「いや、なんでもない」
梅「だからっ……!いや、もういい(保健室を出ていく)」
千夏と奏が梅が出ていくのを黙って見つめる
千夏「よく、分からないな」
奏「せ、先輩大丈夫ですか……?」
千夏「うん、大丈夫。というか先生来なかったね」
奏「え、あ……そう、ですね」
千夏「そろそろ昼休み終わるし戻ろうかな。奏ちゃんはどうする?」
奏「あ、私はもう少し先生を待ちます」
千夏「そっか、じゃあまたね(笑顔で手を振り保健室を出ていく)」
奏「春乃宮先輩……」
(放課後)
梅「(千夏の事殴ったまま謝れなかった…謝らないと…でも……)」
響「あ、雨波先輩。」
梅「響君、今帰り?珍しいね奏ちゃんと居ないの」
響「あぁ、奏は委員会があるみたいで」
梅「なるほどね。あのさ…(少し詰まる)えっと、千夏見てない?」
響「春乃宮先輩ですか?見ましたよ?」
梅「え!?ど、どこ!?」
響「確か俺が授業サボって資料室に居た時に見ましたね」
梅「君入学早々何やってんの」
響「まぁまぁ、で、確か先生二人ぐらいと一緒に首抑えながら保健室に向かってたと思います」
梅「首?なんで?」
響「さぁ、それは知りませんけど。城崎先生に聞いてみたらいいんじゃないですか?」
梅「うん、明日聞いてみようかな。ごめんね呼び止めて。また明日」
響「はい。」
(次の日)
梅「城崎先生!!」(ドアをガラッ!と開ける)
城崎「ドアは静かに開けなさい」
梅「あ、すいません」
城崎「で?どうしたの」
梅「あの、千夏は……?」
城崎「昨日色々あってね」
梅「聞いちゃダメかもしれないですけど…何があったんですか?」
城崎「刺された」(窓の方に椅子を向けながら)
梅「……は?」
城崎「少し他の生徒と揉めてね、運悪く相手がカッター持ってたみたいで首をね」
梅「千夏は……大丈夫なんですか?」
城崎「大丈夫だよ、すぐに病院にも行かせたし傷も浅かったみたいだよ」
梅「その……相手の奴らは?」(怒りに震える声で)
城崎「自宅謹慎だってさ」
梅「今日千夏は来てるんですか?」
城崎「傷が見えにくくなるまでは来なくていいって言ったけど、、まぁ、今考えれば跡になって消えないかもねぇ……。ほら、ホームルーム始まるよさっさと教室に戻りな」
梅「はい……」
教室に戻るため廊下を歩くが足が重く上手く動かない
千夏「あれ?梅?何してるの?」
梅「ち……か……」
千夏「どうしたの?」
梅「首…大丈夫?」
千夏「あぁ……うん。少し傷になってるけど大丈夫だよ」
千夏は少しと言ったが真っ白な綺麗な肌にそのキズはあまりにも大きくあまりにも痛々しく見えたのだった
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!