テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
94
1,365
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
屋上。
春の風が少し強くて、フェンスがカタカタ鳴っている。
❤️「ここ、静かでいいだろ?」
佐藤勝利がドアを開けながら振り返る。
🩷「……うん」
将生は小さく頷く。
教室のあの空気から離れただけで、少しだけ呼吸が楽になる。
❤️「ごめんな、なんか無理に選ばせたみたいで」
勝利が少しだけ苦笑する。
🩷「別に…」
❤️「でも、ありがと」
その言葉と一緒に、ふっと距離が縮まる。
さっきより近い。
逃げようと思えば逃げられる距離なのに、なぜか動けない。
❤️「俺さ、けっこう嬉しかった」
まっすぐな目。
嘘じゃないってすぐわかる。
❤️「将生が、俺選んでくれたの」
ドクン、と心臓が鳴る。
🩷「……そんな大げさな」
❤️「大げさじゃないよ」
即答。
少しだけ、声が低くなる。
❤️「ちゃんと意味ある選択だから」
その言い方に、さっきの教室の空気がよぎる。
——あれは、遊びじゃない。
❤️「なあ」
勝利がもう一歩近づく。
❤️「風磨のこと、どう思ってる?」
急な質問。
🩷「え…」
❤️「あと、他のやつらも」
逃がさない視線。
❤️「将生、けっこう見られてるよ」
それはもう、気づいてる。
でも言葉にされると、重い。
🩷「……よくわかんない」
正直に答えるしかない。
🩷「急に色んな人来て…」
❤️「そっか」
勝利は少しだけ笑う。
でもその目は、どこか考えてる。
❤️「じゃあさ」
ふっと、声のトーンが変わる。
❤️「わかりやすくしてあげる」
🩷「え?」
その瞬間——
ぐっと、腕を引かれる。
距離が一気に縮まる。
❤️「俺はね」
耳元で、低く言う。
❤️「将生のこと、他のやつに取られたくない」
息がかかる距離。
体が固まる。
❤️「だから——」
言葉の続きを言おうとした、その時。
ガタンッ
屋上のドアが強く開く。
「……やっぱここか」
低い声。
振り向かなくてもわかる。
菊池風磨。
❤️「邪魔すんなよ」
勝利が舌打ちする。
💜「そっちこそ」
風磨はゆっくり近づいてくる。
その目は完全に勝利を捉えてる。
💜「何、いい雰囲気作ってんの」
❤️「別に」
💜「へえ」
風磨の視線が、将生に移る。
💜「楽しそうじゃん」
その一言で、空気が一気に冷える。
💜「将生」
名前を呼ばれる。
さっきとは違う重さ。
💜「俺のこと避けてる?」
🩷「……え?」
💜「さっきからずっと、勝利ばっかじゃん」
責めてるわけじゃない。
でも、逃げられない言い方。
🩷「違っ…」
言いかけた瞬間、
💜「じゃあこっち来いよ」
腕を掴まれる。
今度は風磨の手。
さっきより強い。
❤️「ちょ、風磨——」
勝利が止めようとする。
💜「触んなって」
風磨が睨む。
💜「今、俺と話してんだよ」
バチバチにぶつかる視線。
将生は、その間に挟まれたまま。
🩷「……やめて」
やっと出た声。
二人の動きが止まる。
🩷「引っ張らないで …」
その一言で、少しだけ力が緩む。
でも——
離れない。
💜「将生」
風磨が低く言う。
💜「お前、ちゃんと考えろよ」
🩷「何を…」
💜「誰の隣が一番落ち着くか」
ドクン、とまた心臓が鳴る。
勝利が、静かに言う。
❤️「そんなの、もう答え出てるだろ」
💜「は?」
❤️「さっき選ばれたの、俺だし」
挑発みたいな言い方。
一瞬で空気が張り詰める。
💜「……一回だけだろ」
風磨の声が落ちる。
💜「まだ決まってねえよ」
その言葉に、
将生は気づいてしまう。
——終わってない。
むしろ、ここからが本番だって。