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嗚呼生まれた
嗚呼この世を生きた
嗚呼愛する人よ
君は今何を見る。
当たり前のように過ぎてゆく毎日。そんな中ある事件の調査を任された。このお話は探偵だった私の最後のお話です
その事件はイプシロン事件。この事件はある貴族であるイプシロン一家で起きた領主、イプシロンが主犯と見られる殺人事件だ。
今なぜ12年たったこの事件を任されたのかわ分からない、だがきっと裏があるというのは私でも分かる。でも上には逆らえない。服を着替え、道具、携帯、あと少しの勇気。10月の冷たい空気が自分に突き刺さる。
私はまず下見に行った。
〇〇県〇〇市のこの家、今は事故物件の扱いとなり誰も住んで居ない、どうやらそうゆう類の物がいるとか何とか。私はそんなの信じないが、でも薄暗い森の中の異質なこの家のオーラには身体がゾクッとした。
二匹のカラスが此方を覗き見ている。
入ると同時にギィーと軋む音。だいたい分かっていたがかなり寒いし薄気味悪い、まるでお化け屋敷。ここに本当に人が住んでいたのか分からない程だった。
この家は大きく分けて7部屋。私の家と同じ位のリビング、キッチン、お風呂、家族それぞれの部屋らしき部屋、それらが上手く仕切られている。豪邸と言うやつだ。全く羨ましい、イプシロンは一体何を思ってこんな事件を起こしたのだろうか、謎ばかりが増えてきた。まずはリビング。大きなテーブル、その近くにテレビ、本棚。そこから少し離れてソファ、その上に時計。そのほかにも様々な家具があるがどれも壊れている。何かあるとしても恐らく本棚ぐらいであろう。
調べてみると私でも知っている作家たちの小説、様々なジャンルがあり、面白そうなものもいくつか。他にも教科書、参考書、日誌、漫画など実に沢山の種類だ。その中でも特に気になったのはイプシロンの夫であるリグルという人物の日記。ホコリが被っていて中々に汚いが何かあるかもしれない、調べてみる価値はありそうだ。
「ん、、?」
確認したところ、リグルの日記には事件二日前分の日記しか残されていなかった。何故?しかも前の日記はご丁寧に破られている。どうしてこのページだけ破られて居ないのだろう。
十月十五日 今日は何か妻の様子がおかしかった。何かブツブツ喋り、無気力。何かあったのだろうか、聞くことは出来なかった。その他は特に何も無く、息子たちと共に時を過ごした。
十月十六日 嗚呼生まれた。嗚呼今を生きた。嗚呼愛する人よ。今君は何を思う。
妻、、イプシロンは二日前から様子がおかしかった。この文章からじゃこれほどしか分からない。それにこの最後の詩、何故日記に詩を書くのだろう。よく分からないが少し進展はあった。軽くメモを取り、日記を持ち、次の部屋へ向かった。隙間から流れてくる風が優しく叩きつけてくる。
私は次に家族それぞれの部屋へ向かった。やはりどれもが鍵がかかっていて開けれそうにない。幸い片目でギリギリ見れるほどの穴があるので覗くことにした。
広い部屋の1面に空の壁紙、おもちゃらしきものや勉強道具、他にも家具が沢山。ここにはきっと子供が居たのだろう。壁紙からして長男、アベル。この子は唯一殺人に巻き込まれなかったがその後入水自殺。何か知っていたのだろうか、、もう分からないことだが。早く調べたいところだが鍵が開かないので仕方なく後回しだ。他の部屋の鍵も空いていないだろうが何もしないよりまし、行ってみることにした。