テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
43
〇〇「……木曜か」
部室に入ると、窓際に一人、もねが座っていた。
ボブぐらいの黄金を輝かせ、外の景色を眺める横顔。相変わらず感情の読めない、静かな雰囲気だ。
〇〇「今日は……俺ともね、か」
もね「……うん」
返ってきたのは、それだけ。
短くて、淡白。でも確かに聞こえた。
俺はもねの向かいに座った。沈黙が、部屋を包む。
〇〇「……何をすればいいんだろうな」
もね「……」
〇〇「心理実験って言っても、会話しなきゃならないだろ?」
もね「……会話」
彼女はぽつりと繰り返すだけ。
その声音には拒絶も好意もなく、ただ静かにそこにある感じがした。
しばらく沈黙。
耐えられなくなった俺が口を開く。
〇〇「……お前、普段は何してるんだ?」
もね「……本」
〇〇「読書か」
もね「……」
また沈黙。
でも、会話を打ち切ったわけではなく、返す言葉がないだけのように見えた。
〇〇「……じゃあ、好きな本は?」
もね「……推理」
〇〇「推理小説?」
もね「……うん」
それだけ。けれど少し、声が柔らかくなった気がする。
俺はそれを逃さず、続けた。
〇〇「……じゃあ今度、オススメ教えてくれよ」
もね「……考える」
短い。だが確かに約束めいた響きがあった。
沈黙の多い時間。
けれど不思議と嫌ではなかった。
会話は少ないけれど、もねの視線や小さな反応が、彼女の内面を少しずつ見せてくるようで。
〇〇(……こういう静かな時間も悪くないな)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!