僕はゴーストフェイス。みんなからはゴスフェって呼ばれている。早速なんだけど、僕は今物凄く大きな問題を突き付けられているんだ。それは、僕の目の前にいる男『トリックスター』の事である。実は僕は、彼に恋をしている。そしてこの男と接してきて分かったことが一つある。それは…
「あ、あのさ、トリスタ」
「ん?なぁに?ゴスフェ」
「そ、その…今夜一緒に食事でもどうかな?二人きりなんてど…」
「もちろんいいよ!あ、そうだ!トラッパーも誘おうよ!」
「え、トラッパーも…?」
「何か問題でも?」
「いや…ない」
この男、超がつくほどの『鈍感』なのである。普通辿々しく食事に誘うと言う事は相手に好意があるって察するだろ。
彼を好きになった理由は単純だった。目立つ事をとにかく嫌いとする僕とは違い、トリスタはアイドルという事もあり派手な衣装に煌びやかなアクセサリーを付けていた。オマケに紳士的で声も綺麗。俗に言う完璧な人間だった。そんな彼に僕は憧れを持ち、いつしかそれは好きと言う気持ちに変わった。日に日に彼と会話をする度に緊張するし、彼のする仕草全てが愛おしくなってしまう。これはもう、恋という言葉以外の何物でもないのではないか?勇気を振り絞って思い切り告白したこともあった。それなのに…なのに!
「トリスタ、君の事がその…好きなんだ…」
「好き?ありがとう〜!曲作りも頑張るから期待しててね!」
「え?(そっち!?)嗚呼…もちろん…」
どうしてこうも思いが伝わらないのか…。この霧の森へ来る前は沢山のファンに彼は囲まれていたからか?好きって言葉も、トリスタにとってはただのファンが言うお決まりのセリフだと思ってるからか?もう我慢ならん…僕は今夜、トリスタを襲う。所謂『強行突破』だ。僕はここまで良く耐えたと思う。『マッサージをしてあげる』と言えば僕へ簡単に体を許してしまうほど単純な彼を野放しに出来るか。他の奴に取られる前に僕がたっぷりマーキングしないと。僕は彼の部屋の扉をノックし了承と共に中へ入り、そして言う。
「ねぇトリスタ。マッサージしてあげようか?」
「本当?助かるよ〜、最近曲作りの頻度が上がって来てさ。ありがとう、ゴスフェ!」
「もちろん。君のためなら何でもするよ」
「あはは、なんだか君らしくない言葉だね。最近僕をよく食事に誘ってくれるけど、一体どうしたの?」
それは一番聞いてはいけない質問だぞトリスタ…!!頻繁に食事へ誘うのは相手への好意の証。普通は察するのが暗黙の了解だろ…。鈍感って怖いな…でもそんな所も大好きだ。彼の着ていたコートを預かり椅子に掛けた。ベッドにうつ伏せになり背を向けた彼を見て思わずドキッとしてしまう。ここまで事が速く進んでしまうとは流石の僕も思わなかった。『曲作りが終わるまで少し待っててね〜』と僕も少し猶予を持って彼を襲えるかと思えば即こんな状況を作ってくれた彼に感謝と心配が両立する。え、大丈夫なの?僕これから君をめちゃくちゃにするのに。
「ゴスフェ〜?どうしたの?」
「え!あ、嗚呼なんでもないよ!オイル塗るからジッとしててね」
「はーい」
彼の上に馬乗りになり、クラウンから予め作ってもらっていた“媚薬”をポケットから取り出す。もちろんこれを作ってもらった代償はちゃんと払っている。この薬を瓶へ流し込んで振る。うわ、すごい…透明なオイルがピンク色に変わった。僕が思った以上にこの薬は強力なんだな…。これを使った時のトリスタの反応が楽しみだ。手袋を外してオイルを垂らす。
「冷たっ」
「我慢して」
背中に満遍なく塗りたくり、肩を揉んだりしてマッサージをしていると装う。
「気持ちいいよ、ゴスフェ。君マッサージ上手だね」
「そりゃどうも」
次は腰にオイルを塗る。すると、一瞬だけだが彼の体が強張った。ここが弱いのかな?まぁ腰が弱いのは人類共通だからね、これくらいで僕は同時ない。…同時ないのにどうして鼓動がこんなに速くなるんだ…!
「はぁ…」
「どうしたの?ゴスフェ」
「ん?なんでもないよ。次は前の方マッサージするから、動いてくれる?」
「わかった!」
さて、ここからが本題だ。再び馬乗りになりながらまずは綺麗な腹筋の部分をオイルで塗りたくった。触ると分かるが、ちゃんとシックスパックになっている。流石はアイドルだ。
「ね、ねぇゴスフェ?」
「なに?」
「そ、そろそろマッサージ…終わりにしない?」
「どうして?まだ半分も終わってないのに」
「そっか…で、出来るだけ速くしてほしいな…?」
「出来るだけ頑張るよ〜」
媚薬の効果がもう効いてきたなんて。僕もそろそろ本気を出すか。胸の部分にオイルを塗ると、先端の部分がピクピクと勃っていた。僕はそれが面白くて愛おしくて堪らなくなり、どうしてこんな事になっているのか知っていて聞いた。羞恥心を煽るのも前戯の一環。
「どうして乳首、こんなに勃ってるのかな?ただのマッサージなのに」
「えっあ、いやその……」
「どうしてかなぁ〜?」
「あ、あんまり見ないで…」
そう言いながらトリスタは自身の手でそこを隠した。そんなの反則だろ…ますます我慢出来なくなる。でもまだだ。まだ『その時』ではない。僕は立っているそこを時々弄りながらじっとりと満遍なく体全体をオイルまみれにする。するとどうだろう。もう彼は、僕が何もしなくてもピクピクと体が反応してしまっている。そう、これだ。この時を待っていた。
「トリスタ」
耳元でそう囁くと彼は腰をガクガクと振るわせた。可愛いすぎる…。
「トリスタ、僕のことどう思ってる?」
「ど、どうって…今言えな…い」
「言ってくれないと君の“ここ”発散させて上げないよ?」
服の上からでも分かるほど彼のそれは膨らんでいた。媚薬の効果恐るべし。まぁそう言う僕もそろそろズボンの中で圧迫されすぎて限界なんだけどね。でもまずは彼が僕のことをどう思っているのかを聞きたい。もしかしたら、僕へこんなに容易く体を許したのは僕に好意があったからかも知れない。
「ねぇトリスタ…教えてよ」
「ひぁっ……た、だの友達だよ…い…つも優しくしてくれて…」
「嘘じゃない?」
「う、ん…」
友達か…まぁいいよ。トリスタ、その考えも今日で終わるんだから。僕に全部任せて。君は何も知らなくていいんだ、僕がこんな卑怯なことをして君と恋人になろうとしてるなんて、知らなくていいんだ。
「トリスタ…」
「なに、んぅ…んっ」
マスクを上げてキスをする。でもなんでかな…気持ちいいはずなのに、胸が苦しくて仕方がない。僕はいつの間にか泣いていた。理由は分かってる。自分が今やってる事がどれだけ惨めなのか、そして彼を自分のものにする為にした事の卑怯さが今になって溢れてきたからだ。トリスタに申し訳ない…でももう今更引き下がれない。僕は覚悟を決めて彼にこう言う。
「ねぇトリスタ」
「な、なに?」
「恨んでもいい、嫌いになってもいい…僕が今する事は、全部君の見てる夢だって思ってほしい」
「え、どう言う…」
僕はまた彼とキスをする。沢山キスマークをつけて…そしていざ彼の中に僕のを入れようとズボンを脱ごうとした瞬間…
「トリスタ〜、この前貸したミックステープ返してくれよ」
そう言いながらリージョンのリーダーであるフランク君が部屋の中に入っていた。
「え、なにこれ」
「お、落ち着いてフランク君!…これはその…」
「トリスタ、どう言うことか説明しろよ」
「え、そっち?」
「ゴスフェちょっと部屋から出て行ってくれないか?」
僕は嫌な予感がした。既に準備が整っているトリスタと、妙にイラついているフランク君。彼らを二人きりにしてしまっては僕の計画は全て台無しになってしまう。つまりはどう言うことかと言うと、これは勘になってしまうがフランク君もトリスタを狙っていると言うことだ。そんな事はさせる訳ない。僕はここまで頑張ってきたんだ。最後までさせろよ。
「フランク君、これは僕とトリスタの問題だから。子どもの君には関係ない事だよ」
「子ども扱いするな、それに俺はトリスタが好きなんだ」
僕の予想は正しかった。でもだからって彼は渡さない。
「僕だって彼のこと大好きだ!君以上に!」
そう言いながらトリスタの左腕を掴む。
「俺なんてあんた以上にこいつの事好きだからな!」
逆にフランク君は彼の右腕を掴む。
「え、えぇ〜!!?」
何も知らない、というか察していない僕らの好きな人。悪いねトリスタ、残念だけど君が鈍感なのが悪いんだからね?
「どっちがトリスタの事好きなのか証明し合おうよフランク君」
「もちろんだ。あんたみたいなおっさんにトリスタを渡す訳ねぇだろ。」
「おお、言ってくれるじゃん。今ここで殺り合ってもいいんだよ?クソガキが」
「望む所だ変態野郎」
「ちょっと二人ともやめ…」
「トリスタは引っ込んでて!」
「あんたは黙ってな!!」
「はい…」
さて、これからどうやってフランク君を惨めに叩き落とすか考えなければ。
「トリスタは渡さない」
「俺もだ。あんたみたいな奴にトリスタ渡されてたまるか」
ライバルが居たなんて予想外だけど少しは楽しめそうだ。
コメント
52件
ああ!最高すぎた やばい…語彙力消失中… そして鈍感なトリスタはめっちゃかわいいな