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みどりいろwith友!!
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暗い。
でも、これは“今”じゃない。分かる。
これは──
記憶だ。
──研究室。
白い部屋。
モニターの光。キーボードの音。
五人で並んでいる。
今とは違う。
でも、確かに同じ五人だ。
「……このデータ、おかしくないか」
きょーさんが画面を見ながら言う。
「誤差が大きすぎる」
レウが静かに答える。
「安定してない」
コンタミが椅子にもたれて言う。
「こんなんで実験進めんのかよ」
俺もモニターを見る。
そこに表示されているのは──
“能力発現実験”
その文字に違和感が走る。
「……これ」
俺が呟く。
「やばくない…?」
その時、らっだぁが言った。
「やめた方がいい」
静かな声だった。
でも、はっきりしていた。
全員がそっちを見る。
「このまま進めたら」
「取り返しつかなくなる」
その言葉に、空気が変わる。
「……でもさ」
コンタミが言う。
「俺らに止められるか?」
誰も答えない。
分かっている。
無理だ。
上の決定は覆せない。
その時、扉が開いた。
白衣の男。
あの研究員だ。
「議論は終わったか」
淡々とした声。
「実験は予定通り進行する」
らっだぁが立ち上がる。
「待て」
低い声。
「これは危険すぎる」
男は止まらない。
「リスクは把握している」
「問題ない」
「問題あるだろ!」
らっだぁが声を上げる。
初めて見る強い感情だった。
「失敗したらどうなるか分かってんのか!」
男は一瞬だけ止まって振り返る。
「分かっている」
そして、言った。
「だからこそ価値がある」
その一言で空気が凍る。
「……ふざけんな」
きょーさんが低く言う。
でも誰も止められない。
そのまま時間が進む。
──場面が変わる。
──実験室。
五つの装置。
中央に立たされる五人。
「……マジかよ」
コンタミが苦笑する。
「俺らでやるのか」
誰も否定しない。
もう、逃げられない。
らっだぁが小さく言った。
「……絶対、止める」
その言葉だけがやけに強く残った。
──光。
強烈な光。
頭に流れ込んでくる何か。
「っ……!」
意識が揺れる。
能力が、無理やり押し込まれる。
痛い。
苦しい。
でも、終わらない。
その中で、一つだけ違うものがあった。
時間。
流れが見える。
触れられる。
「……これ……」
らっだぁが呟く。
その瞬間──
何かが弾けた。
空気が歪む。
時間がズレる。
「っ!?」
全員が顔を上げる。
景色が一瞬で変わる。
そして──戻る。
「今の……何だ」
俺が呟く。
らっだぁが息を荒くする。
「……巻き戻った」
その言葉に全員が固まる。
「は?」
きょーさんが言う。
でも冗談じゃない。
「……もう一回」
らっだぁが手を上げる。
「待って!」
俺が止めようとする。
でも──
遅い。
空気が歪む。
時間が戻る。
──さっきと同じ位置。
同じ姿勢。
同じ瞬間。
「……は?」
コンタミが呟く。
完全に同じだった。
「やめろ!」
きょーさんが叫ぶ。
でもらっだぁは止まらない。
「……違う」
何度も
繰り返す。
巻き戻す。
巻き戻す。
巻き戻す。
「ここじゃない」
「違う」
「もっと前──」
その声が焦りに変わる。
時間が歪む。
時間が揺れる。
施設全体が軋み始める。
「っ……やばい!」
俺が叫ぶ。
レウが膝をつく。
「……制御できてない」
コンタミが叫ぶ。
「止めろ!!」
でも、止まらない。
らっだぁの目が、完全に変わっていた。
「……戻せる」
小さく呟く。
「やり直せる」
「俺らが被検体にならない未来に…」
「この実験自体が始まる前に…」
その言葉が、怖かった。
「ダメだ!」
俺が叫ぶ。
「それ以上やったら──」
その瞬間、時間が大きく歪んだ。
バキッ──
何かが壊れる音。
施設の照明が消える。
警報が鳴る。
「緊急事態発生──」
機械音声が響く。
でも、それすら歪む。
「……戻らない」
らっだぁが言う。
震える声。
「なんでだよ」
また巻き戻す。
でも──
結果は同じ。
壊れる。
崩れる。
変わらない。
「……なんでだよ!!」
その瞬間、時間が弾けた。
真っ白になる。
──静寂が続いた。
その中で、らっだぁが膝をついていた。
「……無理だ」
小さな声。
「何回やっても……」
顔を上げる。
その目は、完全に絶望していた。
「変えられねぇ」
その言葉で、全部が終わった。
──視界が戻る。
「っ……!」
気づいたら
今の世界。
息が荒い。
心臓がうるさい。
全部、全部思い出した。
「……今の」
きょーさんが呟く。
誰も答えない。
答えは同じだから。
「……あれが」
レウが小さく言う。
「暴走」
コンタミが拳を握る。
「……止めようとしてたんだね」
俺も理解していた。
らっだぁは、壊したんじゃない。
止めようとして──
壊した。
その時、視線が向く。
らっだぁが俯いたまま何も言わない。
「……なあ」
きょーさんが言う。
でも、言葉が続かない。
何を言えばいいか、
分からなかった。
その時、らっだぁが小さく言った。
「……ごめん」
その一言が、
やけに重かった。
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