寺家side
「か、どっ!かど、まって、ちょっと…っ、」
部屋に入った途端、勢いよく壁に押さえつけられる。
必死に叫ぶ制止の声も届かず、首筋に思いきり歯を立てられた。
「いった!痛い、やめろ、おい!」
コイツの身体能力は秀でているが、体格はこちらの勝ちのはず。俺は必死で角を押し退けようとするが、ムキになった182cmの男なんてそうそう簡単には離れてくれなかった。
なんやねん、さっき言うたやんか。
俺をアイツらと一緒にしないで下さいって、お前が言うたんやろ。
これじゃまるで無理矢理みたいや。
ベルトに手がかけられ、いよいよ抵抗する気も失せた頃には目には涙が滲んでいた。
自分でも気づかないくらいには、ほとんど無意識だった。
気づいたのは、目の前の角が急に手を離したからだ。
「じ、寺家くん!?」
「なに…」
「ごめん!俺泣かせるつもりやなくてっ」
あれ、俺、泣いてたんや
「お前が乱暴やからやろ…」
「すんません、なんか、たまらんくなって。」
「それって、俺に欲情してんの?」
「まぁ、はい…」
「好きってこと?」
「いや、それは分からんけど…」
「そこは好きって言わんと。」
正直な角に、つい顔が綻ぶ。
強引なのは嫌やけど、俺で興奮してくれるのは嬉しい。
「かど、」
「はい?」
「優しく抱いてくれ。ここじゃなくて、ちゃんとベッドで。」
「……はい。」
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