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俺がロッキーポートについて数週間後、ローたちハートの海賊団と再び合流した。



「1ヶ月ぶりだな、ロー。みんな」

「ジェイデン、ガルチュー!」

「おーベポ、ガルチュ~♪」



久しぶりのもふもふに俺の心が癒されていく。あ~かわいい~……もふもふだぁ……。



「ほんとに七武海入りまで早かったな……」

「まぁな。だが、まだやることはある」



俺がそう言うと、ローは口角を上げて笑みを浮かべた。俺はそんなローに情報を詰めた手帳を渡す。

ポーラータング号へ戻り、全員で食堂へ向かう。

ペンギンたちが食事の準備をしてくれている間、俺はローと一緒に船長室へ向かい、集めた情報を整理していく。



「パンクハザード……。今から出発すれば2か月以内にはつくぞ」

「そうだな。ログがとれないから、出るなら早めに出ておいた方が良いだろうな。そしてそこで『SMILE』を作るための材料である『SAD』を破壊する」



ローの言葉に頷きながら、俺は地図の上に駒を置いていく。

『SAD』を破壊するためには少なからずシーザーに取り入らなきゃならないのが面倒だけど、仕方ない。



「それで、みんなにはいつ言うんだ?」

「……飯の時に言う」

「わかった」



少し間をあけて答えたローを見て、俺はそれ以上何も言わなかった。

その日の夜、食堂にて夕食を食べ終わったあと、ローは自身のクルーたちに言った。



「俺はこれから別行動をとる。お前たちは〝ゾウ〟に行け」

「ゾウって……ベポの故郷、だよな。ミンク族の……」


シャチの言葉に、ベポが頷く。



「キャプテンどうして!? どこに行くつもりなんですか!」

「パンクハザードだ」

「パンクハザードって……世界政府直轄の島じゃないですか! どうしてそんなところに…?」

「それは言えねぇ」

「だとしても、なんで俺たちを置いていくんですか!?」

「納得できないよ!!」



シャチに続き、ペンギンたちも次々に疑問を口にする。当然の反応だろう。彼らは普段、町に降りる時にローが単独行動するときは何も言わないのに、今騒いでいるのはきっと、彼らの中で不安が渦巻いているからだろう。ローがそのままいなくなるんじゃないか、そんな根拠もない漠然とした不安が。

言葉が足りないローの言葉を補填するために、今ここで彼の心の内を俺が暴くのは違う。

だから、俺が今取るべき行動は……。



「なあロー、もちろん俺も連れていってくれるんだよな?」



ローの腕を掴み、その言葉を発することだった。



「ジェディ、俺は――」



突然のことに驚いているのか、呆然としているローの耳元で他の人に聞こえないよう囁く。



「俺たちは〝共犯者〟なんだろ? 今更ついてくるな、なんて言うなよ」



ハッとした表情を見せた後、フッと小さく笑ったローはそのまま腕を振り払い、帽子のつばを下げて目を隠してしまった。



「俺を何も知らない子供のように扱うのはやめろよ」



俺はローに向かって微笑む。すると、彼は俺につられるように笑い、首を縦に振る。



「わかった」

「よし。ってことで、ローは任せろ。間違っても死なせねえ。五体満足でゾウに連れてく。……どうか、俺を信じてくれないか。この船に乗ってまだ少ししか経っていないし、正式なクルーってわけでもないけど、それでも、お前らのキャプテンを見殺しにする気はない」

「…ジェイデン」



ペンギンが俺を抱きしめる。



「絶対だぞ」

「あぁ」

「キャプテンも、絶対に死なんでくださいね!!」



ビシッと指を指して言うペンギンに、クルーたちが続けた。「死んだら承知しない」と口々に言っていた。

それからひとしきり別れの宴をした。



「パンクハザードまでの船は俺がこの1か月使った船か?」

「あぁ、それで行く予定だ」

「そうか」



ぐぐ、と俺は伸びをする。出航は明日だ。今日は早めに寝ておくかな。



「ジェディ」

「んー?」



自室に戻ろうとしたところでローに呼び止められ、振り返るとそのまま抱き寄せられた。



「ロー? どうした?」



ローの背中をぽんぽんと撫でながら聞く。こんなことをしてくるとは思ってなくて戸惑っていると、小さな声で呟いた。



「ありがとう」



そして俺から離れると、再び口角を上げた笑みを見せて船長室に戻っていった。

どうしたんだろう、不安…なのかな。それとも、ただ甘えたかっただけとか……。いや、ローがそんなこと思うか…? ローは優しいけど通り名は『死の外科医』ぞ??

…どちらにせよ、珍しいこともあるものだ。ちょっとかわいいと思ってしまったのは本人には秘密にしておこう。






翌朝、出航の準備を終えた俺たちは船に乗り、ハートの海賊団のみんなに再び別れを告げた。

そして、ポーラータング号が離れていくのを見送ったあと、俺たちはパンクハザードへと舵を切った。

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