テラーノベル
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窓際に辿り着くとそこに置いてあったレースカーテンを俺の頭にそっとかぶせ、持ち帰った花冠でそれを押さえるように重ねた。
そして、どこから出てきたのか同じ花のブートニアをめめは自分の胸ポケットに挿す。
🖤「阿部ちゃん、綺麗」
💚「なんか恥ずかしいな…」
🖤「俺たちだけだから。何も恥ずかしくないよ」
窓際に置かれたテーブルには、サグラダファミリアの写真が置いてある。
🖤「結婚の誓いは聖書に手を置くんだって。聖書なかったし、阿部ちゃんが前にサグラダファミリアは石の聖書だって言ってたから」
💚「よく覚えてたね」
めめは俺の手をとって写真の上に導き、自分の手を重ねる。
一瞬間があって、めめは『ちょっと待って』と手を離すとジャケットの内ポケットからメモを取り出してまた手を重ねた。
💚「カンペ」
🖤「ふふ、ごめんね。覚えられなかった」
本当なら手を重ねるのは神父様が結婚の成立を宣言する時だけど、めめは誓いの言葉を述べていく。めめなりに考えたんだろうなと思うと微笑ましいし、愛おしい。細かい事を気にするのはなしだ。
🖤「阿部ちゃんは誓いますか?」
💚「はい、誓います」
めめが目を細めて笑顔を見せ、向かい合ってウェディングキス。
あぁ、俺は今世界で一番幸せかも知れない。
勝手に涙が一粒こぼれて、唇を離しためめの頬にも涙が伝っていた。
🖤「ありがとう、阿部ちゃん」
💚「俺こそ、ありがとう」
涙が止まらなくなって、もう一度キスをして2人で泣きながら抱き合ってこみ上げる思いを共有した。
💚「だからこの全身真っ白服で来てって言ったの?」
🖤「そう」
なんと、めめはこれをスタッフさんやスタイリストさんも巻き込んで計画していたらしい。
だから都合よく連絡が来たり、それをスタッフさんがわざわざ教えてくれたりしたのかと納得する。
めめのブートニアや、ネクタイの飾りも、周りの協力で手配してもらったんだそうだ。
🖤「プロポーズだけでもちゃんとしたいって言ったら、みんな喜んで協力してくれたよ。あと、これも」
そう言うとテーブルに紙を置いた。
婚姻届。
🖤「式するならこれも書いたら?って、スタッフさんが雑誌の付録くれたんだ」
💚「すごい……」
2人で名前を書いて、指輪をした阿部ちゃんの手を置いて写真を撮った。
💚「俺もめめに指輪贈りたいな」
🖤「嬉しい。今度買って?この指輪、ペアのやつあるから」
💚「もちろん。お揃いにできるんだ、嬉しいな」
🖤「指輪2つになったら、もう1回写真撮ろう。今日のはうまくいきましたってみんなに取り急ぎ御礼で送るけど」
💚「うん、そうだね」
みんな何でもないような顔をして、こんなにもこの道ならざる恋を応援してくれていると知った。
🖤「幸せになろうね」
💚「今も充分幸せだけど」
🖤「もっと」
そう言いながらめめに抱き寄せられる。
暖かくて、優しい時間。何度も薬指を眺める俺を見てめめが微笑む。
こんなにも、今日が終わらなければ良いのにと思ったことはなかった。
終
コメント
16件
本当に結婚して欲しいですーこの二人は😭💓 二人だけの儀式も素敵😍
やっぱりいわなべ参列見たいから後日談待ってる🥺
メンバー参列verも求めてしまう愚かな自分を殴りたいかもこれは笑笑