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「あんあんあんあん」
あの女が男と交尾するシーンがいきなり映し出されて、無意識に手が出てタブレットを破壊してしまった。
「不倫の証拠はいらぬ。余はただの不倫でなかった証拠を見せろと言ってるんだ」
一瞬見えたあの女の痴態。男の顔も見えたが、職場の同僚だろうか、余の知らない男だった。
二人は隠し撮りに気づかず、本能のままに交わっていた。交尾と書いたが、犬の交尾と同じ体位だった。母親とは認められずあの女呼ばわりしてきたが、夫と子がありながら不倫を楽しんでいる時点でもはや人間でさえなくなっているのかもしれない。人間であっても躊躇なく処刑できる余だ。人間でないならなおさらだ。
余に破壊されることを予期していたか、慎司は予備のタブレットを数台用意していた。さっきの場面から少し進んだところからまた再生された。
事後のようだ。二人とも裸で、ベッドの寝具にくるまっている。
「普通に嫁を抱くのもいいが、やっぱり不倫のセックスは格別だな」
このセリフで男も既婚者であることが確定した。いわゆるW不倫。
「えっ? 恭平、嫁抱いてるの? 旦那に抱かれるなと恭平が言うから、あたしはもう十年旦那としてないのに」
このセリフで不倫期間が十年以上であることも確定した。いちいち腹の立つことばかりだが、慎司の言う〈ただの不倫でない〉というのはそういうことではなく、もっと深刻な何かがあるはずだ。