指を指した場所は、小型補聴器があった。古川「補聴器・・・?」
上野「そうです。」
山田は顔を下げた。
上野「補聴器をつけているということは、耳が悪いという事。」
「当然、これを付けていれば物事が聞こえないということはない。・・・・しかし、」
上野が少し黙って言った。
上野「大きな声は、少し苦手なようですね。」
山田は目を開いた。
上野「美奈川さんが悲鳴を上げた時、あなたは誰の声か分からなかった。しかし、・・」
「あなたの耳に残っていた1番の声は・・・清水さん。違いますか?」
山田「・・・・・・・・・・はい。」
山田は絶望した顔で口を開いた。
山田「最後に話した会話の相手は、清水さんでした。」
「昨日、明日の撮影のことについて話して、それっきりなんです・・・。」
上野「ということは、今ここに清水さんは〔居る〕ということですか?」
山田「多分、いないと思います。」
津田「えっ?」
山田「朝に、白雪姫役全員が集合する予定だったんですけど、清水さんだけ来なかったんです・・・。」
古川「え・・?」
上野「集合に来なかったんですか・・。」
つまり、犯人は・・・・
津田「その清水さんが犯人の可能性が高いですね・・。」
上野「動機もありますしねぇ・・。」
古川「なるほど。自分以外の白雪姫を殺して、自分が姫役になろうとした・・。」
「十分すぎる動機だな。」
上野「つまり、白雪姫は四人ではなく、5人だった・・・っってことか。」
山田「いいえっ!」
上野「え?」
山田「白雪姫役は、全員で四人なんです!」
津田「え?え?じゃあ、この二人・・・」
津田達は2人を見つめた。
古川「あなた達は・・・一体・・?」
りんごをほうばっている2人は見つめ合い、ため息をついた。
美濃部「ごめんなさい・・・私、白雪姫役じゃないんですっ・・・。」
上野「え?あー、なるほど・・じゃあ、清水さんは?」
??「それは私です。」
振り向くとそこには、髪を下ろした山田亜子が立っていた。
古川「山田さん・・・?」
??「この世界に、山田亜子なんて人は存在しません。」
??「私は・・・清水真紀子(しみずまきこ)です。」
田所「ハイカットォ!!!」
スタッフ兼[監督]の田所が叫ぶ。
田所「皆さん、いい演技ですねぇ!少し休憩して、続きやりましょう!」
全員「はーい!」
上野「清水さん、すごく顔怖かったよw」
「さすが、プロの女優さんだ。」
清水「ありがとう。あなたも、すごい名推理で、かっこよかったわよ。」
上野「いやぁ、嬉しい限りです。」
古川「上野、津田と一緒にコーヒー買いに行こうぜ。」
津田「おい宗次郎、今は演技じゃねえんだから。苗字は硬いぜ。」
古川「そうだった!よし、康介。行くぞ!」
上野「たく、日向も大変だな・・w」
無事、映画の撮影は始まって、数時間。
あの映画を考えた二宮さんは天才とも言える。
続きが楽しみだ・・・
津田「何味にしようかな〜。ブラックもいいが、甘口も・・・」
僕らは思ってもいなかった。
映画の中でしか起こらなかった出来事が
現実で起こるなんて
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