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ある晴れた朝、太郎が村の外れで山道を走っていると、村の掲示板に妙な貼り紙がしてあるのを見つけた。
「商店街イベントで、友人の一朗を“人質ごっこ“で縛る企画を開始します。ご協力ください!」
太郎は瞬時に理解した。
「な、なんだと!? 一朗が人質に……!?」
しかしその“人質“というのは、処刑の類ではなく、商店街イベントのためにベンチに座らされているだけだった。
それでも太郎は黙っていられない。
「オレは必ず助ける! 一朗、待ってろ!」
一方、一郎はベンチにゆるく縄で繋がれ、看板には“本日人質“と書かれていた。
「……いや、これってただのイベントじゃないか。なんで俺がここに……」
通りすがりの村人や観光客が写真を撮り、笑いながら声をかける。
「大丈夫か、人質くん?」
「……大丈夫じゃねえよ!」
太郎は村の中央広場に駆けつけ、祭りの屋台をかき分けながら大声で叫んだ。
「一朗ぉぉぉ! オレがきたぞーっ!」
しかし一郎は、恥ずかしさと戸惑いで顔を赤くしている。
「太郎……なんでこんなことに……」
「説明してる暇はねえ! オレは助けに来たんだ!」
太郎は必死に縄をほどこうとするが、係員が止める。
「イベントのルールで、開放は結婚式の証明がないとダメなんです。」
「結婚式の証明?」
太郎の目が光る。
そう、妹の花子の結婚式を急きょ明日にすることで、一朗を救う条件が揃うのだ。
村中が騒然となる中、花子は家で準備に追われていた。
「お兄ちゃん、また無茶を……!」
しかし、花子は深くため息をつきながらも、兄の“絶対に嘘をつかない“信念を信じて準備を進めるしかなかった。
太郎は決意を胸に、村の道を駆け抜ける。
「一朗、待ってろ! オレは絶対に諦めない!」
その足音が、静かな村に響き渡った。