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#琉歌の部屋
まぜ太@nrkr
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第十話 心音の秘密
「……次に消えるのは、俺?」
心音は黒板を見つめた。
「どうして……」
あっきぃが駆け寄る。
「心音!」
「大丈夫だよ、兄ちゃん」
心音は笑った。
けれど、その笑顔は少しだけ震えていた。
「俺、ずっと隠してたんだ」
「病気のことも」
あっきぃの顔が青ざめる。
「……なんで言わなかったんだよ」
「心配かけたくなかったから」
心音は俯いた。
「でも、本当はもう一つ理由がある」
教室の電気が消える。
スクリーンに、一枚の古い写真が映し出された。
そこには――
幼いあっきぃと心音。
そして、その後ろに見知らぬ女性が立っていた。
「……この人、誰?」
ころんが尋ねる。
心音は黙っていた。
やがて、小さな声で答える。
「……母さん」
あっきぃが息を呑む。
「母さん……?」
「俺たちがまだ小さい頃、事故に遭ったんだ」
心音は写真を見つめる。
「兄ちゃんは覚えてないかもしれないけど、俺は覚えてる」
「母さんが最後に言ったんだ」
『二人で、ちゃんと生きてね』
心音の目に涙が浮かぶ。
「だから俺は、生きなきゃって思った」
「病気になってからも、ずっと隠してた」
「兄ちゃんまで苦しませたくなかったから」
あっきぃは何も言えない。
ただ、心音の肩を強く掴んだ。
「……馬鹿」
「え?」
「俺に言えよ……」
あっきぃの声が震える。
「兄弟だろ」
「一人で抱えるなよ……!」
心音の涙がこぼれた。
「……ごめん、兄ちゃん」
その瞬間――
赤い糸が、心音の手首に絡みついた。
「……っ!」
糸が締まる。
ころんが手を伸ばす。
「心音!」
「触らないで!」
心音が叫ぶ。
「触ったら、ころんまで消える!」
「それでもいい!」
「よくない!」
二人が言い合っていると――
「待って」
のあが赤い糸を見つめた。
「この糸……」
「私も知っています」
のあは袖をまくる。
そこには、赤い糸の跡が残っていた。
ゆたくんも自分の手首を見る。
「……俺にもある」
三人の糸が、ゆっくり伸びていく。
その先にあったのは――
ころんの手首。
「……なんで?」
ころんが呟く。
すると、まぜ太が静かに口を開いた。
「この糸は、病気の人を繋いでるんじゃない」
全員がまぜ太を見る。
「死にたくないと思ってる人と、死んでほしくないと思ってる人を繋いでるんだ」
ころんは息を呑む。
「じゃあ、僕は……」
まぜ太は、ころんを見る。
「お前が、みんなに生きてほしいと思ってるからだよ」
その瞬間――
校内放送が鳴った。
『第五の物語――終了』
『次の主人公を選びます』
スクリーンに、一つの名前が浮かび上がる。
『まぜ太』
まぜ太は目を閉じた。
「……やっぱり、俺か」
そして、ころんにだけ聞こえる声で呟く。
「俺が隠してる過去は――」
「お前が忘れたくて消した過去だよ」
ころんの胸が、ズキッと痛んだ。
「……僕が?」
まぜ太は答えない。
ただ、古い扉を開いた。
その先には――
赤い雨が降る、十年前の校庭。
「……ここから先は、俺の物語だ」
まぜ太が振り返る。
「そして、ころん」
「お前自身の過去も、もうすぐ全部思い出す」
扉が閉じた。
残されたころんは、ただ立ち尽くしていた。
――そして誰も知らなかった。
まぜ太が一番恐れているのは、過去ではない。
過去を思い出したころんに、嫌われることだった。
コメント
1件
みぅです🥀 第11話、読みました…… まず、心音くんの「隠してた」って告白がもう、胸に刺さりました。 「兄ちゃんまで苦しませたくなかった」って、その優しさが痛いほど伝わってきて、心音くんの“強がり”が愛おしくて切なくて。 で、赤い糸の秘密が明かされたところも衝撃でした。 「死にたくない人」と「死んでほしくない人」を繋ぐ糸――ころんがみんなを生かそうとしてたから、糸が繋がったって解釈、すごく好きです。 最後のまぜ太くんの言葉も重い…… 「お前が忘れたくて消した過去」って、どういうことなんだろう。 過去を思い出したころんに嫌われるのを怖がってるまぜ太くんの心情、すごく気になる…… 続き、本当に楽しみです。 今回も、すごくいいお話でした。ありがとうございます🌙