路面バスの暖房が故障したのか、外の吹雪と同じくらいの極寒が車内を襲う。ヘレンは身を低くして、寒さを堪えた。
バスの運転手は急に口笛を吹き。
そのまま何事もなかったかのようにバスは走り出した。
暖房も元通りになり、ヘレンは何が起きたのかと車内の前方を向くと、このバスにはモートとオーゼムが座席に座っていた。
ヘレンはオーゼムの力でバスが元通りになったとわかった。
「聖パッセンジャービジョン大学付属古代図書館にもなかったですねえ。モートくん。それにしても、一体何を我々は探さないといけないんでしょうねえ?」
「ああ……まだわからないさ」
「レメゲトンよ。モート……」
「???」
ヘレンは走行中のバス内でモートたちに寄って、アーネストの言葉をそのままモートとオーゼムに伝えた。
「ほうほうほう。いやはや、レメゲトンでしたか……」
オーゼムが何度も頷いた。