目と目が合う
🐍☠️×🐍🟦
シリアス風味
「モンドっ!!早く!」
「…クッ!」
響く轟音。
走る閃光。
モンドが足場を蹴り、ヘリの窓に手をかける。
ズン、とまた衝撃。
狙いすましたかのようにヘリアタックされる。
「…ゥあ、」
「モンド!!」
爆発こそしないものの、機体は酷く揺れ、モンドを振り落とす。
咄嗟に手を伸ばすが、モンドは崩れる足場へと吸い込まれていった。
ーーーーー
「…てことがあったのが昨日ね。」
「ワオ、んでモンドは?」
起きてきたひなーのに昨日の潜水艦の戦績を報告するヘンディー。
「回収して今はらっだぁが診てる。命に別状はないらしいけど、骨何本かイッてそうだよね。」
「ありゃりゃ…。目ぇ覚ましたら2人まとめて説教かな。」
「よろしくボス。あいつらちょっと無茶しすぎやね。」
全てを見ていたヘンディーは、現在心配と安堵が混じって複雑な心境だった。
逃走フェーズ、仕掛けた爆弾が燃料に誘爆し、崩壊。落ちていくモンド、らっだぁが絶望したように息を飲み、そこから操縦が覚束無くなった。
金属板の隙間に倒れているのを発見するまで、全員どこか殺気立っていた。
結果、警察を全滅させ逃げ果せたのだ、戦果としては申し分ない。
負傷者が出てしまったのが、いたたまれないが。
「まあ、モンドは死ななそうだけど。」
ーーーーー
山アジトの奥、普段あまり使われないその部屋は、今は保健室のようになっていた。
ベッドの上のモンドは、いつものクソガキっぷりがなりを潜め、静かに眠っている。
傍らに腰掛けるらっだぁ。
バッテン目の仮面を外した素顔には疲れが見える。
「モンドー…。」
期待を込めて出した声は酷く掠れていた。
愛しい彼の名が部屋に木霊しても、穏やかな寝息が変わることは無い。
誰のせいでもない。
警察は職務を全うし、らっだぁは金持ちを逃がす役目を果たした。
ただ、運が悪かった。そうとしか言いようがない。
それでも。
「…守れなくて、ごめんなぁ。」
あの時掴めなかった手が、諦めたような目が、忘れられなかった。
次々に自責の念が湧いて出る。
じわりと目の前が滲んでいく。
最悪の未来が頭を掠めて、思わず俯いた。
「…ンや、ちゃんと…」
らっだぁの声よりもう一段階掠れた声。
低く脳を揺さぶるその声は、
「モンド、」
「…らっだ、は…ちゃんと守ってくれたやん。」
「……!…モンドっ!」
薄く目を開けた彼に抱きつきたいのを我慢する。
数時間ぶりに合った目は、穏やかで、優しかった。
「らっだぁ、みず。」
「…ん、待ってて、今持ってくる。」
「やだ、そばに居ろ。」
「じゃあどうしろと…?」
「誰か呼べばいーやん。」
嬉しそうに無線を入れるらっだぁの気色満面の笑みに、モンドもホッと胸を撫で下ろす。
あの時、落ちていくあの瞬間。
(…あんな目はもう見たくないな。)
自分を見つめるらっだぁの目は、絶望に歪められていた。
ポンやってヘリを落としたり、戦闘中のダウンの時ですら見せない絶望を、モンドに対して見せたのだ。
もう二度と、絶対に。
「モンド、かいとくん来てくれるって。」
「ン、らっだぁ。」
ちょい、と包帯だらけの手で手招きする。
「なん、!っむ、」
ベッドのそばへ来たところを、手首を掴んで引き寄せ口付けた。
らっだぁの顔はみるみる赤く染まっていく。
それを見て、モンドも満足そうに笑う。
((ああ、やっぱり。))
唇を離し、お互いの顔を覗き込む。
((お前のその目が好きだ。))
「あのー、水持ってきたけど。俺お邪魔?」
「だあああっ!!」
「らっだぁウルサイ。」
syさんリクエストありがとうございます!お待たせした癖に恋愛要素薄くなってしまった…すいません。楽しんで頂けたら幸いです、改めてありがとうございました!
コメント
4件
リクエストしたものです! まじで最高でした🫶ありがとうございました😭
うわぁぁぁ…むりぃ……… (最高です……脳内再生余裕でした…)