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「……起きましたか?」
顔を覗き込んで訊いてみるものの何の反応もなくて、起きたわけではなかったんだと少なからず落胆をする。
「起きてください、蓮水さん」
再び声をかけると、また「うん……」とだけ眠たげな声が返った。
声かけだけではどうやら無理なことがわかって、まずは閉じられている部屋のカーテンを引き開けると、
「蓮水さん、朝ですよー」
そう促して、掛けられたブランケットごと身体を軽く揺さぶった。
「……あっ」と、彼が瞼を開いて、窓辺から差し込む陽射しに眩しげに目をしばたく。
寝乱れた髪を血管が浮き出て厚く骨張った手で掻き上げる仕草に、男性的な色香が漂い思わず目を奪われてしまう。
(やっぱりカッコいいな……)今日からは、こんなに素敵な人と一つ屋根の下に住むだなんてと、その姿にぼーっと見惚れていたら、
「……ん? どうして君がここに?」
彼がベッドに片手をついて、半身を起き上がらせた。
「華さんから、起こすよう言われまして」
「ああ、今日からここへ住むんだったか」
「ええ」と頷いて返すと、「もっと、こちらに来るといい」と、不意に手首が捕まれ、くっと引かれた──。