碧「お母さん、お父さん、早く!」
御宮 碧、10歳の頃父と母とも仲が良く俺は一人っ子だった。
父はとある会社の社長で、母は秘書、俺は父の後継ぎだった。
俺はそこまで頭が良くなかったが、父と母は頑張れ、と応援してくれ出来る範囲で塾を入れてくれた。
とても優しい人達で幸せだった、15歳になるまでは
15歳、俺はとある病気にかかった。治る確率は低く病院で入院する必要がある、会社の後継ぎなんて出来る状態じゃなかった。
そこからだった全てが狂ったのは
碧「けほ、父さん?かあさ」
夜目が覚め2人の話し声が聞こえリビングに向かった。
「後継ぎが居なくなっただけではなく入院までするのか!?」
「貴方、新しい後継ぎを作りましょう」
「ああ、いい考えだ、だが碧はどうするんだ」
「貴方の仕事に関わります、入院料だけ払いあとは病院にどうにかしてもらいましょう」
「ああ、幸い金はいくらでもある、入院したらもう会うことはないだろうし。いい考えだ」
頭を殴られたような感覚だった。今までの優しい父と母はなんだったのか、偽りだったのか。俺はただの後継ぎってだけだったのか、頭の中がぐるぐると周り気持ち悪くて頭が痛くて急いでトイレに駆け込み吐いた。
碧「おれは、いらない子になっちゃったの?」
「私達は忙しくてお見舞いに余り来れないので、息子が寂しくないようにお願いしますね」
看護師「はい、もちろんですお任せ下さい」
父と母に見送られ、大きい病院に入院することになった。偽りの笑顔で。
入院して数日、何もやる気が起きなくていらない子になったことが辛くて、寂しくて、気を紛らわす方法もなく、外をただ呆然と眺めてるだけだった。
そんな日に、新しい看護師さんが来た。
さな「私はさなって言います、見習いなので貴方のお話相手になりました。」
茶髪のポニーテールに前髪をピンで止めた女の人が話しかけてきた。
碧「はなし、あいて」
さな「うん、なにかお話したい事ある?」
碧「…なにか、気を紛らわせる話が、聞きたい」
さな「気を紛らわす…私の趣味の話でもいいのかな?」
碧「…うん」
さな「そうだな、私は最近小説にハマってるの」
碧「小説…」
さなさんは小説の話を良くしてくれて、気を紛らわすのを手伝ってくれた。
さな「はい、これ」
碧「…?」
手渡されたのはタブレットだった
さな「小説見放題なアプリがあるから、好きに見ていいよ、あっ、もちろん先生には許可もらってるよ」
碧「…いいんですか?」
さな「もちろん!碧君は私の弟のような子だからね」
さなさんの弟は俺が今患っている病気と同じだったみたいで、もう亡くなられたって言っていた。
さな「好きなの読んでいいからね」
碧「…聖人の、世界を救うまでの人生?」
沢山小説が並んでいたタブレットに、1つとても引かれた小説があった。笑顔の金髪の主人公だと思われる人が1人、それとは逆に、まるで悪役のような表情をした黒い髪の人が1人。
碧「…ロイ、シャルロット、ルイス」
とても面白くて、ワクワクした、ドキドキもしてゾクゾクともした。
その小説に俺は主人公であるロイではなく、シャルロットが気になっていた。
さな「その小説面白いでしょ?」
碧「シャルロット…シャルロットのお話ってある?」
さな「そこにはないけど、シャルロット目線の番外編だったらあるよ」
碧「本当…?」
さな「そうだな…碧君が手術頑張ったらプレゼントに買ってあげる!」
碧「…いいの?」
さな「うん!その代わり、いつか私の事をお姉ちゃんって呼んでね 」
さなさんは俺にどうしてもお姉ちゃん、と呼ばれたいらしい、弟に重ねているのかと尋ねれば、そうかもしれないけど私は碧君のお姉さんになれたらいいなって思ってるよ。と目を見ながら話してくれた。
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手術は無事に終わって、目覚めた頃ちょうどさなさんがいた。
さな「手術お疲れ様、碧君」
はい、これ約束のプレゼント。と紙袋に入った1冊の本を俺に差し出した。それを受け取り、袋から出すとシャルロットが表紙に描かれた小説が入っていた。
碧「あり、がとう」
さな「どういたしまして」
ニコリと微笑み頭を撫でてくれた。
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あの時から数年、さなさんは立派な看護師になり、会う頻度は少なくなった。それでも手術を終えたあとはシャルロットのグッズや小説を買ってきてくれた。
まだ恥ずかしくてさなさんの事はお姉ちゃんとは呼べていない、いつか呼べたらいいな、とは思っている。
そんな時だった、突然の発作に心臓がバクバクと早くなるのが感じ、頭が痛くて気持ち悪くて吐きそうで視界がぐるぐると回っていた、回る視界でどうにかナースコールを手に取り押した。
すぐに先生や看護師が来てくれ、治そうとしてくれたが、もう無理なのだ。
碧「せんっぜ、」
先生「大丈夫、すぐ治してあげるから」
碧「もっ、むりです」
先生「え…」
碧「じぶんの、身体は、わかります、」
碧「げんか、いなんです、」
あの頃は本当に死んでしまいたいと思うほどに辛くて寂しかった、でもさなさん、いやお姉ちゃんが小説を教えてくれて、感想を聞いてくれて、色々プレゼントしてくれたおかげで人生がまた楽しいと思えた。
碧「さな、さん」
左手で胸元を掴み、右手をお姉ちゃんの方に伸ばすとお姉ちゃんは手を握ってくれ、泣きながら頑張ってと言ってくれた。
碧「ありがとう、お姉ちゃん」
さな「っっ次に起きたら言って欲しいよ!」
碧「お姉ちゃんのおかげで人生が、また、楽しいって思えたからさ、」
碧「死んだら、シャルロットの人生と、一緒にもやして」
さな「ダメだよ、頑張ろう」
碧「お姉ちゃんって呼ぶの、、こんなに遅くなってごめんなさい」
碧「21歳に言われても、嫌かもだけど」
さな「そんな事ないよ!」
碧「本当に、ありが、、と」
さな「ねぇ、碧君、碧君!」
ああ、そっか、ルカの撫で方が似ているのは幼馴染じゃない、お姉ちゃんとにてたんだ。起きなきゃ、まだルカと一緒にいたい。まだ一緒に生きていたい
ルカ「…シャル?」
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2章 プロローグ エンド 12⁄11
これは碧が忘れていた記憶です。
さなの事はずっとお姉ちゃん、とは呼ばなかったですが結構昔からお姉ちゃんだとは思ってました。
だいたいでしかストーリー思いついていませんがプロローグだけ投稿します。
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