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──夜、ネグとマモンが静かに眠りについた後。リビングには、だぁ、すかー、夢魔の3人だけが残っていた。
すかーはソファに深く腰を沈めて、頭を抱える。
「……やれやれ……何回こうなるんだよなぁ。」
夢魔は窓の外をぼんやり眺めながら「まぁ……でも、寝てる顔は、やっぱ普通に可愛いもんだな。」と小さく笑った。
だぁは黙ったまま、ネグたちの寝ている部屋を一度だけ見に行き、ほんの少しだけ優しい目をして戻ってきた。
その姿を見て、すかーは小さく苦笑いする。
「だぁ、あいつらには甘いんだよな……」
だぁは静かに座り直し、ポツリと一言。
「……まぁな。でも、だからこそちゃんと怒らないと。」
──そして朝。
ネグとマモンがベッドの中で、ふわりと目を覚ます。
「んぁ……」と、小さな欠伸を漏らしながら、ネグは布団の中で伸びをする。
マモンも同じく、「……ふぁあ」と欠伸をしながら、手を伸ばして軽く背中を反らす。
まだ眠気が抜けきらないまま、2人はぼんやりと顔を見合わせた。
「……もうちょっと寝よっか。」
「うん……」
2人は再び目を閉じ、まるで何事も無かったかのように、また眠ろうとした──その時。
「ネグ。マモン。」
低く、冷たい声が部屋に響いた。
ゆっくりと目を開けると、そこにはだぁが立っていた。
腕を組んだまま、表情は完全に無表情。だが、目だけは怒りに満ちていた。
「……おはようございます……」とネグは寝ぼけた声で呟き、マモンも「……だぁさん……?」と目を擦る。
だぁはため息ひとつつき、眉間にしわを寄せたまま言う。
「本当に……何回繰り返すんだよ。昨日までのこと、ちゃんと覚えてる?」
「んん……」ネグは曖昧に唸って、また目を閉じようとする。
「こら、寝るな。ネグ、マモン、聞いてる?」
だぁは少し声を強めるが──まだ寝起きで頭が回っていないネグとマモンは、あろうことかだぁの袖を引っ張って、そのまま間に引き寄せるようにして抱きついた。
「……ん……静かにして……」
ネグはだぁの頬に、目を閉じたままふわりとキスを落とし、マモンも同じく「静かにして……だぁさん、うるさい……」と呟きながら、だぁを挟む形でぴったりと寄り添う。
だぁは一瞬、本当に言葉を失った。
冷たい怒りが一気に溶けていくような──そんな感覚。
ネグとマモンの体温が、だぁの腕や胸に伝わってきて、だぁの表情がほんの少しだけ崩れる。
(……は……? なんだこれ、ちょ、待て……)
だぁは心の中でひたすら叫んでいた。
(おいおいおいおいおい、これ……無理、可愛すぎるだろ……!)
(怒りたかったのに、無理……もう無理……)
だぁは顔を手で覆って、必死に冷静さを取り戻そうとするが、ネグとマモンはまるでそんなだぁの心境など知らずに、ぴったりとくっついたまま、穏やかな寝息を立て始めた。
静かな朝の空気の中、だぁはひとりだけ、完全に無防備な2人の間で、心の中で崩れ落ちていた。