テラーノベル
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──朝を過ぎ、もう昼に差しかかろうという頃。だぁはまだベッドの上で静かに座り、眠っているネグとマモンを見つめていた。
ネグは眠ったまま、だぁの指先を小さく甘噛みしてくる。
「……ふっ……」
だぁはほんの小さく笑うが、心臓は妙に速く打っていた。
(……なんだよ……マジで、かわいすぎだろ……)
そしてマモンは服の裾を掴んだまま、すぅすぅと穏やかな寝息を立てて眠っている。
しかも時々、だぁの足に自分の足をくっつけてきて──
そのたびに、だぁは思わず息を止めてしまう。
(あのな……やめろ……心臓、もたねぇって……)
そしてネグが、ゆっくりと目を開ける。
眠そうに瞬きをしながら、小さな声で──
「……もぅ……ちょっとだけ……」
だぁの腕に頭を押し付けるようにして、そう言ってまた目を閉じる。
(おいおいおいおい……やめろって……やめろって……)
(かわ……可愛すぎんだろ、ネグ……)
さらに、マモンが寝言で小さく呟く。
「……撫でて……」
無意識にだぁの腕に頬を寄せたまま、ぽそりと。
その瞬間、だぁの頭の中で何かが爆発した。
(は、……あ、は?……かわ、え、なにそれ……無理……!!)
思わず目を伏せて、だぁは両手で顔を覆いかける。
けれど、そっと手を伸ばして、ネグの髪を優しく撫でてしまっていた。
マモンの背中も、ほんの軽くさすっていた。
──そして、ようやく。
ネグとマモンがゆっくりと体を起こしはじめた。
「ん……」
まずネグが、小さく欠伸をしながらだぁの顔を見上げる。
「……だぁさん……おはよぉ……」
その声が、あまりにも甘くて、だぁは一瞬息を呑んだ。
(っ……おい……)
さらにマモンも、同じように眠たげな声で。
「……だぁ……おはよぉ……」
しかも──ネグはだぁの服の裾をそっと掴んで、片方の手で目をこすっている。
マモンも、服の袖を掴んだまま、まだ完全には目を開けきっていない顔で微笑んでいる。
その瞬間、だぁの心臓は本当に限界だった。
(やめろ……本当に、やめてくれ……それ……可愛すぎんだろ……!!)
(声に出すな……落ち着け……落ち着け、俺……!)
深呼吸して、なんとか冷静を装いながら──だぁは小さく微笑んだ。
「……おはよう。」
だが──ネグとマモンは、さらにとびきりの笑顔で、にっこりと言った。
「ん、おはよぉ〜!」
その無邪気すぎる笑顔に、だぁは完全に心の中で崩れ落ちていた。
(……無理……マジで無理……可愛い、可愛すぎる……)
(怒るとか説教とか、全部吹っ飛ぶくらい、今……)
だぁは静かに自分の両手を膝の上に置き、
ただただネグとマモンの寝起きの微笑みを見つめ続けていた。
──そのまま、しばらく言葉も出ないほど、静かな時間が流れていた。
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