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逃げたり、やらかしたり

25 - 第25話 破壊力の強い可愛いマモねぐ

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2025年07月16日

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──朝を過ぎ、もう昼に差しかかろうという頃。だぁはまだベッドの上で静かに座り、眠っているネグとマモンを見つめていた。


ネグは眠ったまま、だぁの指先を小さく甘噛みしてくる。

「……ふっ……」

だぁはほんの小さく笑うが、心臓は妙に速く打っていた。


(……なんだよ……マジで、かわいすぎだろ……)


そしてマモンは服の裾を掴んだまま、すぅすぅと穏やかな寝息を立てて眠っている。

しかも時々、だぁの足に自分の足をくっつけてきて──


そのたびに、だぁは思わず息を止めてしまう。


(あのな……やめろ……心臓、もたねぇって……)


そしてネグが、ゆっくりと目を開ける。

眠そうに瞬きをしながら、小さな声で──


「……もぅ……ちょっとだけ……」


だぁの腕に頭を押し付けるようにして、そう言ってまた目を閉じる。


(おいおいおいおい……やめろって……やめろって……)

(かわ……可愛すぎんだろ、ネグ……)


さらに、マモンが寝言で小さく呟く。


「……撫でて……」


無意識にだぁの腕に頬を寄せたまま、ぽそりと。


その瞬間、だぁの頭の中で何かが爆発した。


(は、……あ、は?……かわ、え、なにそれ……無理……!!)


思わず目を伏せて、だぁは両手で顔を覆いかける。

けれど、そっと手を伸ばして、ネグの髪を優しく撫でてしまっていた。

マモンの背中も、ほんの軽くさすっていた。


──そして、ようやく。


ネグとマモンがゆっくりと体を起こしはじめた。


「ん……」


まずネグが、小さく欠伸をしながらだぁの顔を見上げる。


「……だぁさん……おはよぉ……」


その声が、あまりにも甘くて、だぁは一瞬息を呑んだ。


(っ……おい……)


さらにマモンも、同じように眠たげな声で。


「……だぁ……おはよぉ……」


しかも──ネグはだぁの服の裾をそっと掴んで、片方の手で目をこすっている。

マモンも、服の袖を掴んだまま、まだ完全には目を開けきっていない顔で微笑んでいる。


その瞬間、だぁの心臓は本当に限界だった。


(やめろ……本当に、やめてくれ……それ……可愛すぎんだろ……!!)

(声に出すな……落ち着け……落ち着け、俺……!)


深呼吸して、なんとか冷静を装いながら──だぁは小さく微笑んだ。


「……おはよう。」


だが──ネグとマモンは、さらにとびきりの笑顔で、にっこりと言った。


「ん、おはよぉ〜!」


その無邪気すぎる笑顔に、だぁは完全に心の中で崩れ落ちていた。


(……無理……マジで無理……可愛い、可愛すぎる……)

(怒るとか説教とか、全部吹っ飛ぶくらい、今……)


だぁは静かに自分の両手を膝の上に置き、

ただただネグとマモンの寝起きの微笑みを見つめ続けていた。


──そのまま、しばらく言葉も出ないほど、静かな時間が流れていた。

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