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翌日、教室の中。のあはいつも通り友達と笑っていたけど、心の奥にはまだゆうくんの影があった。
スマホに届くメッセージを見たくても、怖くて開けられない。
その間、ゆうくんは画面の向こうで、何度も返信を待ちながら胸を痛めていた。
「昨日のこと、怒ってないよね…?」
その一文を送る指が、震える。
でも、のあから返ってくる返事は、期待していた優しいものではなく、短く途切れた文字だけだった。
『うん、だいじょうぶ』
その文字を見て、ゆうくんの胸は締め付けられる。
「だいじょうぶ…じゃないだろ」
声にならない声を漏らして、画面に手を重ねる。
のあはその間、教室で友達と話しながらも心ここにあらずだった。
胸の奥で、ゆうくんの顔を思い浮かべる。
だけど、彼の存在は画面の向こうでしか触れられない。
触れたい気持ちは強いのに、現実の距離がそれを許さない。
次のメッセージを送るか迷っているうちに、時間はあっという間に過ぎていく。
「どうして返事が来ないんだろう…」
ゆうくんは画面に向かって小さく呟く。
その不安は、のあには届かない。
互いを想っているのに、手を伸ばしても届かない。
好きだからこそぶつけられず、距離を置くことで少しずつすれ違っていく。
夕暮れが教室を染めるころ、のあはそっとスマホを胸に抱きしめる。
「ゆうくん…元気でいてね」
言葉にできない想いが、部屋の空気に溶けていった。
画面の向こうでは、ゆうくんもまた、同じ想いで夜を越えていく──。