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あれから数日間、ワクワク感と同時に、仕事の忙しさで疲労感もあった。だけど、柊君と過ごせる日が近づくにつれ、楽しみな感情の方が圧倒的に強くなった。
待ちに待った日曜日――
ようやくこの日がやってきた。
久しぶりの外出デート、車でマンションの前まで迎えにきてくれた柊君は、紳士的に助手席のドアを開けてくれた。
「さあ、どうぞ」
まるで王子様のようにキラキラした柊君の優しさに、思わず私までお姫様気分になれた。
「ごめんね、少し遅れたかな」
「ううん、まだ2分前だよ」
なんて言いながら、私はかれこれ20分前からここに立っている。
「まずは、買い物だね」
「うん」
柊君の車は、高級家具の専門店に向かって走り出した。そのお店には、海外で活躍してる柊君の好きな家具職人さんの作品が置いてあるらしい。
新しいテーブルが欲しいみたいで、カーテンやオシャレな雑貨もそこで揃えようと提案してくれた。
私にはそういうセンスが全然無いから、全て柊君に任せようと思う。
40分程走って、お店に着いた。
久しぶりのドライブがたまらなく嬉しくて、移動時間も存分にデートを楽しめた。
「うわぁ、オシャレなお店……素敵過ぎて圧倒されるね」
「だよね。ここの雰囲気がすごく好きなんだ」
「いらっしゃいませ、水原様」
スーツを着た紳士が、柊君を出迎えて案内してくれた。ここの店長みたいだ。
「こちらが新しい作品になります。ゆっくりご覧下さい」
「ありがとう。これはすごくいい感じだな。この木目の感じとか、手触りも、形もいい」
「さすが水原様。このテーブルは……」
店長さんがいろいろ説明してくれるけど、私にはあんまりよくわからない。それでも、柊君のこだわりは、私も大事にしたいと思う。
だけど……
どこにも値段が書いてない。
このテーブル、30万円くらいかな?
さすがにそんなにはしないかな?
「気に入ったよ。じゃあ、これをお願いします。あと、カーテンとか見たいな」
「水原様、ご購入ありがとうございます。かしこまりました。カーテンはお2階でございます」
嘘、テーブルの値段聞かないで買っちゃった。
やっぱり柊君って、かなりのお金持ちなんだ。今まであんまり深く考えたことなかったけど、きっと、すごいセレブなんだろう。
もちろん……私にはそんなこと関係ない。だって、柊君がいてくれるなら、私、貧乏でも楽しく暮らしていける自信があるから。
ただ側にいてくれて、私だけを愛してくれたら、それでいい。それが、私の幸せだって本気で思ってる。
一通り買い物が終わって、いよいよお会計。
柊君はカードで支払いを済ませた。
結局、テーブルは150万円だったらしい。
それを聞いて私は思わず息を飲んだ。
これから毎日使う物だけど、傷つけないように気をつけなければと思った。