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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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夏休みに入った。

コインランドリーには明日香が来ていた。

「ねーアキラさん」

乾燥機の前のベンチに座っている。

「んー…?」

湊は椅子に座り漫画を読みながら返事をする。

「最近、シンと会ってる?」

「いや…塾の夏期講習忙しいみたいだからな〜店では会ってないな」

「ふーん…部屋で密会ね〜。笑」

「部屋に呼んだ事はねーよ」

「隣なのに?」

「隣だからだよ」

「アキラさんって変な所固いよね〜」

「なんだよ、固いって」

「シンの気持ち知ってんだよね?」

「…まぁ…な」

「アキラさん的にシンはどう?」

「どう?って、あいつまだ高校生だぞ」

「年齢の問題だけ?」

「明日香、お前も受験生だろ。勉強しなくて良いのかよ!」

「話そらすなよ。アキラさん」

「そらしたわけじゃねーよ…」

「あっ!シン!」

「えっ!」

湊は慌てて振り返る。

「ふーん…笑」

明日香がニヤリッと笑う。

「明日香…お前…!」

「わかりやすいね〜アキラさん。笑」

「……」

「いーじゃん別に。高校生だって。あいつ、本気でアキラさんの事好きだって言ってるんだし。アキラさんだって、シンの事本当は好きなんでしょ?」

「大人には大人の事情ってのがあんだよ!」

明日香は座っているベンチから身を乗り出すと

「アキラさん。高校生だって本気で人を好きな気持ちは大人と変わんないよ」

「明日香。好きな人いるのか?」

「さぁね…そろそろ帰るわ」



湊が部屋の電気をつけるとLINEの通知音が鳴った。

『お疲れさまです』

シンからだった。

『お前も勉強おつかれさん』

『会いに行けなくてすみません』

『目の前にいるだろ』

『そーじゃなくて』

『わかってるよ』

『寂しいですか?』

『まぁちょっとな』

『近いうちにお店に行きます』

『ムリすんな』

『絶対行きます』

『別に店じゃなくても』

『好き。なんです』

『はっ?』

『洗剤の匂い』

『お前は紛らわしいんだよ!』

『笑。 模擬試験の結果でました』

『どうだった?』

『A判定でした』

『すげーな!良く頑張ったな!』

『ご褒美ください』

『ご褒美?』

『俺はシンが好きだ。って打ってください』

『携帯の充電なくなりそうだわ』

『逃げんなよ』

『じゃあな』

『おい! おっさん』

『数奇。あっ、間違えた 』

『わざとだろっ』

『勉強がんばれよ!』

そう打って画面を消す。

窓の外を見ると、シンがこっちに向かって手を振っている。


(好き…なんて打てるかよ……)



結局シンとほとんど顔を合わせる事がないまま夏休みが終わった。

「よっ、アキラさん!」

「また、お前か…明日香…」

「またって…笑。シンが良かった?」

「はぁ?んなこと言ってねーだろ」

「そんなことよりさぁ…」

明日香は湊に近づき肩を組むと

「さっき商店街でシン見かけたんだよね~」

「商店街?」

「なんか…クラスの女子と一緒に楽しそうに買い物してたけど…」

そう言ってチラッと湊を見る。

湊は動揺しているように見えた。

「心配なら見に行ってくれば?」

「俺は別に心配なんか…」

明日香は湊から離れると

「じゃ、行くねアキラさん」

そう手を振って出て行ってしまう。

「まさか…な…」

そういや、最近また忙しいってLINEもこなくなったし…

「そんなわけ…」

そう言いながら足は商店街に向かっていた。


顔を隠すように歩きながら湊はシンを探した。

「……えっ……」

見つけたシンは確かに女子生徒と2人で買い物をしていた。

「なんで…」



店に戻ると、

「あいつ忙しい忙しいって、勉強じゃなかったのかよ!」

ブツブツ文句を言いながら掃除をする。

「最近LINEもよこさねーし、なにが隣空けておいてください。だっ!キャンセルしてやるっ!」

一通り文句を言い終わると

「お前が言ってる好きってなんだよ…」

虚しくなってきた。

「もーっ!わっかんねぇー!!」

叫びながら頭をくしゃくしゃと掻いていると

「お久しぶりです。湊さん」

「えっ?」

見ると入口にシンが立っていた。

「久しぶりだな…」

湊はシンが持っている紙袋に目をやる。

「買い物か?」

シンは湊の視線が紙袋にある事に気がついた。

「あっ…はい」

「一人でか?」

「それは…」

「忙しいって言ってたのに買い物する時間はあるんだな…」

「どういう意味ですか?」

「別に…そのままの意味ですがっ」

「何が言いたいんですか?」

「隠す事じゃねーだろ。女の子と楽しそうに買い物してたじゃねーか。良かったな」

「見てたんですか?」

「たまたま見かけただけだ」

「なんで声かけてくれなかったんだよ…」

「なんでって…」

「だいたい…良かった。って何?」

「……」

「あんた俺の気持ち知ってんだよな?」

「……」

「…あんたは俺に言えない事はないんですか?」

「今、俺の話は関係な…」

「じゃあ…この間の男は誰ですか?」

「……」

「そうやって都合が悪くなるとすぐ黙って…………隠し事してんのはあんたの方だろっ!」

「……」

「帰ります。本当はもっとあんたといたかったけど…」

シンは踵を返すと

「また…LINEします」

そう言って行ってしまう。

「おいっ!シン!」

シンを呼び止めるがその声は届かなかった。


その夜もシンからのLINEはなかった。

窓の外にはシンの部屋の窓が見える。

「こんなに近いのに…」

湊は窓に向かって手を伸ばす。

「すっげー遠いな…」

伸ばした手をゆっくり下ろした…。




【あとがき】

第2章開幕です。

もう少し溜まってから投稿しようと思ったんですが、以外といけいけシンちゃんが楽しくて…皆様にもこの楽しさ分かち合っていただきたくて投稿しちゃいました…笑


ちょっと多忙なので書け次第随時投稿しますね♪

明日か明後日に10話投稿できればします…多分…汗

夏休み編はドラマでやっているので割愛しました。

季節先取りしますが気にせず突き進みます。笑



さて…第1章7話。意外に好評で驚いております…

湊の過去を書いていてツラくて…きっと読み手に嫌われてしまうかも…と、覚悟しておりました。

それでもこの回を書かなければ先に進まないので…凄く悩んだ回です。

全て削除して、この話は無かった事にしようとしたのもこの回を書いていたからでした。

不評覚悟で投稿しましたが、結果良かったのかな~と安心しました♪

次へ、進めます。



それでは、次回作でまた、お会いできますように…

月乃水萌

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