「【大蛇の呪い子】の癖に気持ち悪いのよ!」
「ぁ……..」
私、まだキィニチに【大蛇の呪い子】なんて言ってない。私を抑えている手から抜け出し、彼を見た。目を見開き硬直していた。私はこの世の終わりの様な気持ちになった。私は母から逃げ出した様な状況でまだ好きなはずのキィニチから全力で逃げた。
走って走って走って走って
辿り着いたのは私の限界。私は呼吸が出来なくなりその場に座り込んだ。初めて悔しさで涙が出た。
『なぜ私はもっと早く言わなかったのだろう』
もっと早く言っていればあの出会った時に見放されていただろうか。最初から私に期待などさせずに済んだのだろうか。もっと早く言っていれば私が傷付かずに済んだのだろう。時よ、どうか戻って。そんな叶うはずの無い願いを重苦しい空気の中祈っていた。